テラーノベル
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「日織さん、今日の夕方は空いていらっしゃいますか?」
お昼休み。
市役所近くに修太郎さんが月極で借りていらっしゃる駐車場の車の中。
ランチに出掛ける体でバラバラに席を離れて駐車場で落ち合ってから、二人で車の中やどこかのお店でランチを食べる。
最近週に五回はこんな感じで、とても幸せなお昼休みを過ごさせていただいています。って月曜から金曜の勤務で、週五は毎日なんですがっ。
実はあの会合のあと、お仕事自体がとても忙しくなってしまって……。
修太郎さんからこんな風に就業時間後のお誘いを頂いたのは初めてだったのです。
私はドキドキと胸が高鳴るのを止められなかった。
「はいっ! もちろんなのですっ! も、もし空いていなくてもバッチリ空けちゃうのですっ!」
嬉しくて、思わず両の拳を握りしめてガッツポーズしながらそう申し上げたら、修太郎さんにクスクスと笑われてしまいました。
「日織さん、そう言っていただけるのはとても嬉しいのですが……先約があったらそちらを優先させてくださいね? いいですか?」
さすが修太郎さんです。
とても大人な発言に、私は反省しました。
「わかりました……」
しゅんとしてそう言ったら、「向こう一週間、ずっと定時後は空けてありますので。そのために僕も最近は仕事、目一杯頑張りましたから。日織さんが無理なさらなくても大丈夫です」と優しく頭を撫でられる。
大きくて温かくて所々血管の浮いた、男らしい修太郎さんの手。
私は彼の手が本当に大好きで……修太郎さんにこうやってよしよしして頂くたびにドキドキしてしまうの。
こんな素敵な方が私の許婚だなんて!
今でも信じられない気持ちになるのは仕方ないですよね?
庁舎に戻って手帳を確認した私は、今日、確かに何の予定も入っていないことを確認した。
修太郎さんに、小声で今夕問題ない旨を伝えると、小さくうなずいていらした。
仕事が終わったら家に連絡して、今日は帰宅がいつもより遅くなることを伝えなくては。
私は仕事をしながら、そわそわと修太郎さんとのデートのことばかりを考えてしまう。
そういえば……。
全ての問題が片付いたら……キスのその先を教えて頂けることになっていました。
まさか今日?
そう考えたら一気に頬が赤らんでしまって、修太郎さんに熱があるのではないかと心配されてしまった。
まさかエッチなことを考えてしまって顔が赤くなってしまいました、とは言えなくて……私はフルフルと首を振ることしか出来なかった。
「体調……ではないのですっ。夕方のことを考えていたら嬉しくてつい」
結構苦しい言い訳です。
でも、修太郎さんは「ああ」と一言おっしゃると、「僕もとても楽しみです」と微笑んでいらした。
その、何も邪な思いが含まれていないような純粋な笑顔に、私はますます羞恥心に飲み込まれてしまう。
***
結局就業後、いつものように修太郎さんの車で待ち合わせをすることになった。
私の方がいつも早く出るので修太郎さんからお車の合鍵を渡されているのですが、それが何だか特別な感じがして、嬉しいのです。
あれでしょうか。
お部屋の合鍵を頂く時の気持ちに似ているのかも知れません。
そちらはまだどなたからも頂いたことはないのですけれども。
「お待たせしました」
やや緊張しながらちょこん、と修太郎さんの愛車――アルファード――の助手席に座っていたら、息を切らして駆けていらしたらしい修太郎さんが運転席のドアを開けていらした。
「ご自宅へは連絡なさいましたか?」
いつもより遅くなることは確実なので、私は自宅へ修太郎さんとデートなので遅くなります、と連絡を入れていた。
「はい、大丈夫です」
言えば、「良かった。じゃあ、行きましょう」と言われた。
エンジンをかける修太郎さんに「あの、どちらへ?」と問えば「着いてからのお楽しみです」と微笑まれてしまった。
(あーん、それはすごくすごく気になってしまうのですっ)
私はハンドルを握る修太郎さんの横顔をチラチラと盗み見ながら、どこへ行くんだろう?とそればかりが気になってしまう。
窓外を流れる景色から判断すると、目的地が修太郎さんのご自宅ではなさそうなことだけは確かだった。
「気になりますか?」
私の視線を受けて修太郎さんがクスクスと笑っていらっしゃる。
#御曹司
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コメント
2件
めっちゃ気になる!
うわぁ、この回めっちゃ甘い…!日織さんの修太郎さんへのときめきがひしひし伝わってくるし、「キスのその先」のフラグにこっちまでドキドキしちゃった笑。それに「向こう一週間、ずっと定時後は空けてあります」って修太郎さんマジ紳士すぎる…!行き先がまだ秘密ってのも気になるし、次が楽しみすぎるわ✨