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1章。 「過去と今の僕らの話。」
【💎】
「おはよ〜!」
いつも通りの挨拶。いつも通りの時間。
でも、僕の声に返事をしたのは1人もいなかった。
居間を見る。
ソファーに初兎ちゃんが涙目になって座っている。
反対側にはないちゃん。その後ろにアニキ、りうちゃん、いふくん。
「…。ちょっと来い。」
いふくんの声は、いつもより低くて、怖かった。
「う…うん?」
言われた通りに、初兎ちゃんの隣に座る。
「…えっと…。これはなに?」
そう言って、ないちゃんはスマホの画面を見せる。
そこに書かれていたのは、メンバーの悪口。
アカウントは僕の。
「それとこれもッ!」
ないちゃんは少し怒鳴り気味に、もう1つのアカウントも見せた。
それは、初兎ちゃんの。
そこにも、メンバーの悪口が書かれていた。
僕の所には初兎ちゃん以外、初兎ちゃんの所には僕以外のみんなの悪口。
「え…?なにこれ…。」
「なにこれじゃねぇんだよッ!お前ッ!」
「ホンマ見損なったわ。」
「…。りうらたちのこと、こんな風に思ってたの?」
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!
僕はこんなことしてないッ!
これ、投稿されたの、昨日の昼じゃん!
その時、僕達みんなでゲームしてたじゃん!
僕が1位とって、りうちゃんと初兎ちゃんが喧嘩してて…。
アニキはその時、ご飯作ってくれてたじゃん!
ないちゃんといふくんは、笑って見ててくれてたじゃん!
できないよ!わかってよ!
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?
どうして?
「ねぇ!これ本当にほとけっちが書いたのッ⁉」
あ、そうか。みんな裏切るんだ。それなら僕も、裏切れば良いんだ。
「…そうだよ。」
「!」
「そうだよ、僕が書いた。ごめんね。皆のこと気に食わなかったんだ〜。」
「…出てけッ!」
「うん。言われなくてもそうするよ。じゃあね。今までありがと〜。」
ガチャッ
ドアを閉める直前、見えたのは、君達のなんとも言えない、
悲しそうな寂しそうな、嬉しそうな、そんな顔だった。
「もう、こんなとこ、いたくないや。ボソッ」
…あ〜あ…。やっちゃった。僕ってなんて愚かなんだろ。