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スクリーンでは主人公とヒロインがキスをしているシーンが映っている。
そして次にエンドロールが流れ出した。
今話題の新作映画で、感動して素晴らしい作品だと聞いていたのだが、どうやら僕には合わないらしい。
こんなのを見るくらいなら2時間半寝ていた方がまだマシだったかもしれない。
でもどこかしらで面白くなるところがあるかもしれないと期待して見続けていたが、どうやら無駄だったらしい。
だが周りの客は僕と違って泣いている者や、涙を拭きながら鼻を啜っている者、エンドロール中に席を立ち劇場から飛び出す者もいた。
「つまらない映画…」
ふと隣の客がそう呟いた。
僕が隣を見るとそこには退屈そうにため息をついている女性がいた。
僕の視線に気付いたその人は、僕の方をチラリと見て言う。
「この映画、評判の割に面白くないよね」
「僕もそう思う」
僕は素直にそう伝えた。
続けてこう言う。
「どのシーンもよくある恋愛映画から切り取ったような、どこかで見たことあるような物ばかりで退屈だった。ラストで2人がキスするのも、物語の前後と合っていないようにも感じた。はっきり言って駄作だった」
僕は正直に感想を述べた。それを聞いた彼女は少し微笑みながら
「君、面白いね。この後暇してる?」
と言ってきた。僕はこの後夕食を食べてから帰る予定だったので、
「夕飯の誘いなら喜んで」と言った。
「あらあらどうもありがとう。君はピザはお好きかね?」
とわざとらしい言い方をしながら僕も合わせ て
「三度の飯よりピザと言っても過言では無いですわよ」と答えた。
彼女はピザもご飯じゃん!と笑っているともうそろそろエンドロールが終わりそうだったので席を立った。
それを見た彼女も席を立ち、劇場から外へ出た。
外は崩壊寸前の建物や逃げ惑う人達、地面がところどころ裂けていて、空からは黒い雨が絶えず降り注いでいた。
言い忘れていたが、世界はもうすぐ崩壊するらしい。原因が何かは知らないが、この世界のエンドロールは最早すぐそこにあるということだけは壊れつつあるこの世界を見ればわかる。
この物語は僕と彼女のエンドロールである。
第1話「終わりの始まり」
続く…