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いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

194 - 第194話*坪井side③特別な夜に俺を想っていてほしい*22

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2025年06月04日

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「八木さん! 会議終わったんですか?」


八木の登場にホッとし喜んでいるんだろうか?

待ちわびていたような声だ。真衣香の方に向き直すと、先ほど自分に見せてくれた笑顔よりも、輝いて見えた。


「おー、終わった終わった。 んで、何、明日? 俺と約束してるかって?」


坪井の横を雄々しく通り過ぎて、八木は真衣香の隣に進んだ。

ピタリと寄り添い、腰のあたりに手を回す。当たり前のように、真衣香に触れて抱き寄せた。


……いや、触れるどころではない”密着”している。それなのに坪井と目が合うのだから十中八九、見せつけているのだ。


「へー、クリスマスなぁ。お前、そんなもん気にすんのか? 咲山が聞いたら歓喜すんじゃねぇの」

「……え?」

「イベントに興味なさすぎてー、とか。よく愚痴られたもんだわ。そっちはそっちで今年もよろしくやれよ」


煽るように、そして楽しそうな声で八木が言った。

いや、実際にはそんな声ではなかったのかもしれないが、余裕のない坪井にはそう聞こえてしまう。


「別に、咲山さん、もう関係ないんで」


坪井は声を張り上げたいのを抑え込むように、低い声で答えた。


八木の煽り方がおかしい。

真衣香の前では、彼女を庇う発言で坪井から遠ざけるのみだった。それが、あからさまに挑発的な態度を取ってきている。


「咲山さん……ねぇ。 なるほどな、関係ないのか」


と、確認するように。

また、探るように。八木は坪井をジロジロと観察するように眺めて言った。


これまでの口ぶりからして、八木は咲山のことも”真衣香を傷つけた人間”だと、認識しているはずだ。徹底的に遠ざけて名前さえも聞かせたくない、と。八木はそんな守り方をしてきたように見えたのに。


それがどうして。わざわざ真衣香の前で名前を出すのか理解できない。


目を細めて睨みつける坪井の視線を交わして、八木は真衣香の耳元に唇を当てた。


「ひゃ!?」


さすがに社内だし、そのキスは一瞬のことだったが。甲高い声を上げて八木を見上げる顔。

恥ずかしそうに、目を白黒させて。思わずからかって虐めたくなるような、愛おしさがある。


そんな顔は自分だけか知っていたい。誰にも見せたくないのに。

1番近くで見ているのは別の男だと……その事実がどんよりと頭の中に影を落としていく。

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