第8話
「マリー。朝だよ」と声をかけられて起きた。
「ご飯、ご飯」と言う声も寝起きの私には聞こえた。
初めに餌と排泄をやってから、着替え。ご飯を食べてからまたアクアの世話。何かをやった後は必ずアクアの世話がはいる。可愛いから許すけど、他の人が欲しいと言ったらどう答えようか……面倒だな……
「マリー。薬が効いてるけど、休んでて。もっと悪くなっちゃうから」と布団にはいらされる。
でもアクアに直ぐ起こされる。
「お腹空いたよぉ〜」と。でもクルクルの水色の瞳に見つめられたらもう負けてしまう。
「ふふ、可愛いなぁ……」と優しく話しかけて楽しんでいる。
それで今日は終わって、次の日もそんな感じだった。
「今日で出発だ。荷物をまとめろ」とゲッツさんが部屋を片付けていた。
私も片付けているとアクアも自然とポシェットに入っていた。私は自分のバックとポシェットを背負ってから宿屋を跡にした。
ポシェットにはカールさんの服も仕込んでいて、ぬくぬくしている。マチありで作ってよかった……
❃
マリーは大丈夫かな?
……まぁ、元気そうだし今のところは大丈夫でしょ。
でも、夜中のあれは可哀想だったけど
「マリー。ご飯」という声が寝る直前にも聞こえた。
僕は爆睡してたから何も分からなかったけど、マリーの目の下にはハッキリとしたクマができている。
「おい、殺されたくなかったら金を出せ」「エマだけは……これでどうだ?」と遠くで盗賊と親子が揉めているのが見える。
そうしたら、盗賊が父親を指す瞬間を見てしまった。
マリーはそれを見て青ざめているし、師匠も行こうと思っているけど、安易には行けない。
「お父さん。しっかりして」とマリーと同じくらいの子供が泣きながら倒れた父親を揺すっている。
「くそっ……いけない……」と師匠が呟くと「カール。マリーを守れ。少し、手を打たないと狙われる」と師匠は三人の元へ向かった。
マリーは体が震えている。刃物を人に向けるなんて光景を想像した事ないだろうに……
「お父さんとお母さんも、もしかしたら……」とマリーは呟くと段々息が荒くなっていく。
確かに、盗賊に狙われた可能性もある。町から少し外れにある家までの道で拉致か……それか、マリーの一家を……
あの歌を知っているならあり得る。
僕は茂みの中にマリーを連れて行って潜伏魔法をマリーと自分にかけた。
「師匠は大丈夫だから、今は自分の身を守る事に集中して。両親の事は町に言ってから調べられるはずだから……」とマリーの背中を揺すった。
「はい……」とマリーは震えた声で返事をした。
少しすると「出てこい。もう大丈夫だ」と師匠の声が聞こえた。
僕は少し顔を出して魔力が師匠と一致するか確かめてから茂みから二人で出た。
「ありがとうございます」と父親だと思われる人がペコペコと頭を下げている。良く見ると荷馬車があり、荷物が沢山積まれていた。
本当は師匠の魔法真似したかったのに……はぁ~……
「二人は大丈夫か?」と師匠が僕たちの方へ向いた。
「僕は大丈夫ですよ。マリーは少し震えていますが、怪我は無いです」
「巻き込んでしまった。すまない」と父親に頭を下げられた。
「いえいえ、何も出来なかったのですから……」とマリーが俯いた。
それから少し昼休憩をとってから進んだ。あの親子は行商人で、母親は家で留守番をしているらしい。差し傷は師匠が魔石を使ったらしく傷跡一つ残さず治したらしい。
師匠ってお人好しのところあるよな……だから巻き込まれるんだよ。
三日後。
「町が見えたぞ」と師匠が指さす。
「ここに、いるかもしれないけど受け入れてくれるかな…」とマリーが不安気にぼやいている。
「きっと大丈夫だよ。もしかしたら、色々知っているかもしれないし」とマリーの方へ向いて励ます。
「そうだといいのですが……昔、母に自分の親族には会わないでと言い聞かされました。母はそうやって言い聞かす事は絶対にあり得ません」ポツリとマリーが呟いた。
「でも、調べたいんでしょ?」とマリーの方へまた振り向いた。
するとマリーは力なく頷いた。
多分、血迷って自問自答を繰り返しているのだろう。母からの言いつけを破るのか、両親の真相を調べるのかどっちを取るべきか。
「人の言う事を聞くのは大事な事だ。だが、それを絶対に守らないといけないというルールはどこにある?」と師匠も振り返ってマリーの方へ向いた。
「確かに、母がどこにいるか何が起こったのか知りたいです」と真っすぐな目で言った。
「それなら決まりだな」と師匠はフッと微笑んで前を向いた。
それから町へ入ると夕方頃で宿を探した。師匠がいいところがあったと言うのでそこに入った。






