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第9話
宿の中でゲッツさんは薬師をしていて、私たちは食事を取っていた。アクアはポシェットの中で寝ている。
「ねぇ、マリーって魔法って使った事ある?」と聞かれた。
「うぅん。魔法石を魔法学校で始めて使ったもん」と『魔法学校』だけ声を潜める。
「そっか……僕は炎と空間が得意なんだけどね…あ、アクアは使えるよね。前、水浸しにしてたし……」とカールが何かを深く考えている。
「そういえばだけど、魔法測定ってのが今の時期にあるんだよね。マリーは後で簡易的な物ですますかもしれないかも」
「でも、私のために来てもらってるんだし文句は言えないかな」と苦笑した。
「そっか。明日は早く出るから、寝てて。アクアは今晩は手伝うから」とカールがポシェットを受け取って部屋へ戻った。
アクアは生後一ヶ月で、身長は倍くらいになった。食べる量も多くなっているけど相変わらず夜中に四、五回は起こされる。でも、排泄は自分で、ゴミ箱の中とか、野原とかにしている。
私も部屋に戻って餌とゴミ箱を渡して布団に入った。
一ヶ月ぶりのちゃんとした睡眠がとれた。
次の日。
「……といった事だ。マリーの家の者はどこにいる?」とゲッツさんが役場の受け付けの人に向かって圧をかけている。
その人は顔色一つ変えずに「資料を探してきますので、見つかり次第お呼びします」と言ってから裏へ行った。
大丈夫かな……どこにあるんだろう……
「マリー。お腹空いた」と言われたので、私はこっそりとお肉を放り込んで外へ出た。
アクアのトイレを済ませて戻ってきたら丁度呼ばれた。
「申し訳ございません。お探しの方は二年前に亡くなっています」と受け付けの人が言っている。
え……嘘、でしょ……
「え? 嘘……」と私は両手を口元に当てた。
「マリーの両親と同じ…?それはいつ頃に亡くなったのですか?」とカールがすかさず質問する。
「秋からいなくなってしまったのですが、冬に遺体が見つかったので二年前の冬頃だと思われます淡々と受け付けの人は説明する。
「その他に親族はいないのか?」と次にゲッツさんが詰め寄る。
「はい。その一家族同時に亡くなったので町の近辺にはいません」とはっきり言った。
え……どういう事……
「じゃ、じゃあ、私の両親のヘンリーとエレナという人も一緒に来てたりしませんか?」と腹をくくって言った。
二人とも目を見開いて私の事を見たけど決心した事なので、気が変わる事なんて無く真っすぐ受け付けの人を見つめた。
そんなはず無い、そんな事なんてあり得ない……お願いだから……
「ここには来ていませんね」と告げれた。
心のどこかでホッとしたけど、私の一族が狙われているのなら……
「そうすると、クレアもロジェも危ないかも……」
私がポツリと呟くとゲッツさんが軽くお礼を言い、外に出た。
「マリー。大丈夫?」とアクアがポシェットの中から私の事を見上げた。
「うん。大丈夫だよ」と頭を撫でるとキュルルと嬉しそうに声を出す。
「しかし、いないとは予想外だったな……」とゲッツさんが頭を抱えている。
「えぇ、やってやりますよ。私は絶対に許さない」と私は拳を握りしめた。
「マリー……怖いよ……」とアクアが怯えている。
「あ、ごめんね」といつもの顔に戻るとキュルルと甘えて来る。
「そしたら、誰かの犯行だよね。こんな偶然起きる訳がないし……あ、マリーの姉弟に会ってみたいね。何か分かるかもしれない」とカールがハッとした顔でこっちを向いた。
「う〜ん……もう少し休みを取るか……」とゲッツさんは唸りながら書いた手紙を移動魔法でどこかに送った。
多分学校だと思うけど。
それから宿屋を出て西へ向かった。
「ちょっとこの店を寄るから待ってろ」と言われて店の前に立たされた。
「マリー。アクアって女の子なのかな?」
「う〜ん……でも一人称が『私』なんだよね……でも、本人は何とも言ってないしな……」と私も首を傾げて考えた。
「確かに一人称か……というか、龍に性別っていう願念があるのかな?」とカールがそもそもの事を言い始めた。
確かに。性別なんて聞いたことないし。
というか、龍なんてどこかのおとぎ話に出てくる登場人物としか考えなかった人がそんな事言えるはずが無いけど…
「ん……呼んだ……?」とアクアが起きた。
「アクアって女の子か男の子かどっちなんだろうって話だよ」と私が声を潜めて言うと「女の子?
男の子? ……何それ?」と首を傾げるだけだ。
子供なんだし、しょうが無い。と二人で苦笑した。
「終わったぞ。これを持っておけ」と魔法石を渡された。私はクリーム色でカールは桃色の魔法石だ。
「身の危険を感じたら使え。純度が高いから少量の魔力でも反応するはずだ」と言ってから馬にまたがった。
私とカールもまたがって西に向かってまた、進み始めた。