もう、リューヤに明かそう。今までのこと、全部全部
シオン「……私ね、最近、家族を……失ったの。」
リューヤ「え?!」
そりゃ驚くよね。初めて会った人にいきなり、家族がいないって言われたら、驚かないはずないよね。
シオン「私の目の前で、みんないなくなっちゃった…。信頼してた人に、裏切られて、消された……。なのに、私だけ生きてるの。訳分からない。」
リューヤ「……じゃあ、さっきのは?まさか、追いかける行為じゃないだろうな?」
シオン「当たってるよ。だって、家族もいないし、自分のセカイに光がなんてない子は、生きてても変わらないでしょ。ただ、周りの人を暗くするだけ。それって、みんなにとっては、迷惑なことじゃん…。」
追いかける行為をする時に思った言葉を、リューヤいう。
シオン「恨むのは、運のない私。憎いのは、自分だけ生きてる私。全部、全部、私が悪いの。」
リューヤ「俺はそんなことないって思ってる。誰だって光がない時ぐらいある。だって、俺もシオンと同じ立場にいるよ。家族では無いけど、友達が…。」
驚いた。普通にリューヤのセカイには光があるから。普通に友達に恵まれて、家族と楽しく、幸せに暮らしてるのかと思ってた。
シオン「リューヤも……?」
リューヤ「ああ。とっても大事な友達がな。だからさ、お互い頑張ろうよ。立場が同じな人同士として。俺と一緒に光を探しに行こう!」
シオン「…うん。ありがとう、リューヤ。」
リューヤ「どういたしまして。」
リューヤ「っと、そろそろ家に帰らないと、警察に補導されるな……。もう補導はこりごりだ。ま、夜中にほっつき回ってる、俺が悪いんだけどな!」
はははっ!と大袈裟に笑うリューヤ。いや、笑い事じゃないよ、リューヤ…。
リューヤ「あーでも、警察に、”あなたそれでも、神坂ノ宮中高一貫校の生徒なの?”って言われるから、めんどくせぇな…。」
シオン「え?」
リューヤ「え?」
今、神坂ノ宮中高一貫校って言ってた…よね?
シオン「神坂ノ宮中高一貫校って、私が通ってる学校なんだけど……。」
リューヤ「まじ?!俺、高校の1-A組!」
シオン「私は、中学の2-C組。」
お互い、学年とクラスを教え合う。リューヤは勢いで言ったんだろうな。まさか、学校が同じだなんて、びっくりしたよ。
シオン「じゃあ、”リューヤ”、じゃなくて、”リューヤ先輩”ですね。」
私が冷静になってホントのことを言ったら、
リューヤ「急な、先輩呼びと敬語はやめろ〜!学校以外では、タメで呼び捨てでいいから!」
わあ。なんとゆるゆるな人なんでしょう。学校でもプライベートでも、先輩に対しては、敬語と先輩呼びは絶対なのに。
リューヤ「まあ、そういうことだから!…そろそろ帰んないと、だ。家まで送るから行こう。」
シオン「えっ…。あ、ありがとう…」
高校生とは思えない対応、そして、さっき初めて知り合った人とは思えないくらい、リューヤはいい人だな。
シオン「家、ここだから。ありがと。」
リューヤ「ん。ちゃんと飯食えよ。あ、明日、朝の登校に、シオンの生存確認しに行くから。」
シオン「ええええええ?!」
これは、一緒に登校するってこと…?!
リューヤ「じゃ、明日の朝8時に行くからな!」
なんということなんだ。これから私は、リューヤに生存確認をされるのか……?それは困るから、何とかして安心させなきゃ!!
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