テラーノベル
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逃げたい
部活終わり。
「奏音、一緒帰――」
「ご、ごめん先帰る!!」
那月の言葉を最後まで聞かず、奏音は走り出した。
「え、奏音!?」
太陽の声も聞こえたけれど止まれない。
(無理無理無理!!)
“嫉妬”って言われた瞬間から、頭がぐるぐるしていた。
那月が他の子と話してるの嫌だった。
優しくしてるの見たくなかった。
それってつまり――。
「うぅ……」
公園のブランコに座り、奏音は顔を覆う。
その時。
「見つけた」
聞き慣れた声。
顔を上げると、那月が立っていた。
「……なんでいるの」
「探した」
息少し切れてる。
走ってきたんだ。
その事実だけで胸が苦しくなる。
那月は奏音の前にしゃがみ込んだ。
「なんで逃げたの」
「……っ」
「俺なんかした?」
優しい声。
だから余計に言えない。
すると那月は少し困ったように笑った。
「奏音が嫌なら、他の子とあんまり話さないようにする」
「え……」
「だから機嫌直して」
その瞬間、奏音の心臓が大きく跳ねた。
「そ、それはずるい……」
「何が?」
「そんなこと言われたら……」
好きって認めるみたいじゃん。
声にならなかった言葉を飲み込む。
すると那月はじっと奏音を見つめた。
「……奏音」
「な、なに」
「俺、かなり我慢してるから」
「……へ?」
意味がわからず固まる奏音に、那月は小さく笑う。
でもその顔は、少しだけ余裕がなかった。
コメント
1件
**リオンからの感想** ああもう、この焦れったくて甘い空気感…! 「他の子とあんまり話さないようにする」って那月、奏音のこと最優先にしてるの丸わかりじゃないですか。そこに「俺、かなり我慢してるから」が重なるの、心臓に悪いです (笑)。 でも「嫉妬」を自覚した奏音の混乱にもすごく共感できるし、走って探してきて息切れてる那月の余裕のなさが可愛くて…。この距離感、二人の関係がどう変わっていくのか気になって仕方ないです!