この作品はいかがでしたか?
923
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長い長い校長の話を聞かされる始業式が
やっと終わって、その後の休み時間。
皆、クラスの人と仲良くなろうと
色んな人と話していた。
だから、俺達のことは誰も見ていなかった。
「赤くん、もう眠気覚めた〜?」
蒼ちゃんが俺の顔を覗き込んで
聞いてくる。
「うん!もう元気いっぱいッ!」
俺は勢いよく腕を振り回して見せる。
すると蒼ちゃんが、子供っぽいねと
笑らった。
そして、自分の膝をぽんぽんしながら、
「赤くん!おいで〜ッ!」
と、幼児に話しかけるような
口調で言った。
少し恥ずかしくて乗るのをためらったが、
蒼ちゃんに強引に俺の腕を引っ張られて
膝に乗せられた。
すると、蒼ちゃんの腕が俺を包み込む。
どうも俺が小さいからか、蒼ちゃんの
腕の中にすっぽりと収まってしまう。
そして、蒼ちゃんは軽く俺を抱きしめた。
今までなら、これくらいは普通に
しても何も感じないはずだった。
ただの、友達同士の戯れだった。
でも、今はそうはいかないらしい。
俺の心臓が大きな音を立てて鳴り止まない。
そして、微かに蒼ちゃんからも
体を通して聞こえてくる音。
それを感じてまた速くなっていく
俺の心臓の音。
思わず俺は蒼ちゃんの手をぎゅっと握った。
ほんのり暖かくて、安心する。
「2人は本当に仲がいいですね〜。」
そんな声が聞こえて、思わず俺は
握っていた手をぱっと離した。
後ろの席から声をかけてきたのは、
黄ちゃんだ。
「あ、そういえば黄くん同じクラスか!」
「そうですよ〜ッ!」
黄ちゃんは小学生の頃からの友達。
よくこの3人で遊んだものだ。
「小学生の頃からずっと
くっついてますよね〜」
そう。俺と蒼ちゃんは昔から
こんな感じだった。
だから、これくらいなら学校でしても
2人の関係は誰も気が付かない。
「だって、僕達親友だもん〜ッ!」
蒼ちゃんは見せつけるように俺を
ぎゅぅっと抱きしめる。
息が苦しいくらいに。
「ちょッ…蒼ちゃん苦しいッ!」
「あははッ!ごめんごめんッ!」
蒼ちゃんが無邪気に笑う。
「仲間外れなんて酷いですよッ!」
そう言って、黄ちゃんが俺の膝の上に
座ってきた。
つまり、蒼ちゃんに俺と黄ちゃんの
全体重がかかってるってことだ。
「黄ちゃんッ!?」
「ぐわッ…重い〜ッ、!死んじゃうぅッ!」
「えへへ〜ッ」
ぱっと振り向いた黄ちゃんの笑顔は
とても楽しそうで、…
でもほんの少しだけ…
…いや、気のせいか。
そんな事を思っていたら、
授業が始まるチャイムが鳴った。
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コメント
2件
ブクマ失礼します🙇🏻♀️