イレブンとセーニャは、深い森の中を歩きながら新たな目的地へ向かっていた。月明かりが木々の間から漏れ、幻想的な雰囲気が漂う中、二人の足音だけが静かに響く。
「イレブン様、あの森を抜けた先に…試練の神殿があると聞いています。そこで私たちの力が試されることになるのでしょう。」
セーニャが真剣な表情で言った。彼女の言葉からは、少し不安そうな気配が感じられる。
「試練の神殿か…それが私たちの役目を果たすための鍵だってことだな。」
イレブンはしばらく沈黙し、前を見据える。だが、その視線には覚悟と決意が宿っていた。
「でも、君が一緒にいるなら、どんな試練でも乗り越えられると思うよ。」
セーニャはその言葉に顔を赤らめ、思わず足を止めた。イレブンも足を止め、彼女の顔を見つめる。
「イレブン様…そんなふうに言われると、少し照れてしまいます。」
セーニャは照れ隠しに軽く首を振りながら、歩き出す。イレブンはその後ろをついていきながら、ふと自分の中で何かが変わったような気がした。彼女が隣にいること、それが心強いという気持ちが、ますます強くなる。
二人が神殿の入り口に辿り着くと、その扉は異様に巨大で、古代の魔法がかけられているのが見て取れた。扉には複雑な魔法陣が刻まれ、周囲には不安を感じさせる空気が漂っている。
「ここが…試練の神殿か。」
イレブンは深呼吸をし、セーニャの方を見た。彼女もまた、少し震える手を差し伸べながら、答えた。
「はい…でも、イレブン様、私たちなら大丈夫。あなたと一緒なら、どんな試練も乗り越えられます。」
セーニャの言葉には、確かな信頼と力強さが感じられる。イレブンはその手をしっかりと握り、ゆっくりと扉を開けた。
扉が開くと、そこには広大な空間が広がり、無数の光の球が宙を舞っている。神殿の中は静寂に包まれており、その空気に圧倒されるような感覚がイレブンの胸を締め付ける。
「ようこそ、試練の神殿へ。」
突然、空間の中から低く響く声が聞こえてきた。イレブンとセーニャは声の方向に目を向けると、そこには巨大な石像が立っていた。その目は光り、神殿内に異様な気配を放っている。
「ここから先に進むためには、あなたたちの絆を試す試練を受けなければならない。」
その声が続いた。
「二人の心が一つにならなければ、この先に進むことはできません。試練に挑む準備はできていますか?」
セーニャはしっかりと胸を張り、イレブンに目を向ける。
「イレブン様、私はあなたとならどんな試練でも乗り越えられると信じています。」
イレブンも力強く頷き、セーニャの手を握り返す。
「僕もだ、セーニャ。どんな試練でも、君となら乗り越えられる。」
その言葉が響くと、石像の目が一瞬輝き、空間が変化し始めた。試練の幕が今、開けようとしていた。
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