私は華火(はなび)、高校2年生。根が暗いのでなかなか友達は作れないが、そんな私にもたった1人の大切な友達がいる。
今日はそんな私の友達について話をしようと思う。
夏鳴「おはよ〜!!」
彼女は夏鳴(なな)。なんだか夏祭りを連想させるような、華やかで儚い名前が彼女に合っていてとても良い。
能天気で何も考えてなさそうだが実は他人のことを一番に考えて行動するお人好しだ。明るく友達が多いところを除いては、少し私に似ている。あと名前も。夏と花火、みたいな。
夏鳴「華火?」
華火「あ、ごめん。おはよう!」
夏鳴「どうしたの?何かあった?」
華火「ううん、夏鳴のこと考えてた。」
夏鳴「なにそれ?(笑)」
華火「可愛いな〜って。今日は髪型変えたんだね、似合ってるよ。」
夏鳴「なんか華火ってそういうこと普通に言うよね、照れる(笑)」
華火「私、嘘はつかないよ」
夏鳴「わかったわかった!ありがとう(笑)」
華火「今日の放課後は何か予定あるの?」
夏鳴「クラスの子と遊ぶ予定だけど何かあった?」
華火「そっか、やっぱりなんでもない」
夏鳴「ほんとに?一緒にお出かけしたいとかじゃなくて?」
華火「なんでわかるの?」
夏鳴「そりゃわかるよ〜!何年の付き合いだと思ってるの!」
華火「1年とちょっと……だよね。」
夏鳴「……なんか数字にすると短いけど!!華火のことは私が1番理解してるんだから!」
華火「………..それはありがたいけど放課後は先約がいるんでしょ?」
夏鳴「うそうそ!いない!断るから!」
華火「いいの?」
夏鳴「いいのいいの!華火といた方が楽しいもん」
華火「本当そういう所よね」
夏鳴「ん?」
華火「なんでもない、放課後たのしみだな」
夏鳴「ね!私もだよ!」
華火「じゃあまた放課後ね」
夏鳴「うん!今日も頑張ろうね!」
教室に入ると、さっきまでの楽しい時間がまるで存在していなかったかのように重い空気が肩にのっかる。一人は慣れているが退屈だ。クラスメイトが楽しそうに話している声が篭っているように聞こえる。
孤独が辛くてもひたすらに耐える、耐える、耐える。私には夏鳴という素敵な友達がいるのだから。そう自分に言い聞かせて席に着く。
キーンコーン カーンコーン
夏鳴「華火!!」
華火「夏鳴。随分早いのね。」
夏鳴「カラオケが楽しみで楽しみで!早く行こ!」
夏鳴はそういって私の手を取る。
ああ、私はこの人のこういう所を好きになったんだった。暗闇を照らす月明かりのような、素敵な人。
夏鳴「ふ〜っ!着いたね〜!」
華火「いつもの所とは違うのね」
夏鳴「ふっふーん!他のところより安くて、高校生があまり来ない穴場を見つけてしまったのです!」
華火「素敵ね。私、アルバイトをしていないからとても助かるわ」
夏鳴「大丈夫大丈夫!なんかあったら私が奢るしさ!さー!入ろうか!」
華火「あらありがとう(笑)そうね、外は蒸し暑いし早く入りましょう」
夏鳴「すみません!高校生二名で!」
夏鳴「……なーんか意外と狭い部屋だね」
華火「そうね、でもこれくらいが丁度良いんじゃない?」
夏鳴「それにしてもあっつーい!汗かいちゃったよ」(パタパタパタ)
うすいピンク。
華火「ちょっと。下着とその……あれがみえてるわ、気をつけなさいよ。」
夏鳴「いいよ華火しかいないんだし(笑)2人っきりだしこーんなこともできちゃうぞー!」
そう無邪気に笑ってワイシャツを引っ張って見せた。
耐えなきゃ。耐えろ、耐えろ、抑えろ私。
夏鳴「ひゃっ……!華火……?」
気がつくと私は夏鳴をソファに押し倒していた。
いい機会だ。勢いで言ってしまおう。
華火「貴方のその華奢な身体に見合わない大きな胸、艶やかで真っ白な肌、その大きな瞳に小さな唇。」
夏鳴「え、え、どうしたの?」
華火「押されると引けないその性格、私は好きよ。」
夏鳴「え?あ、うん、わたしも華火のことは好きだよ?」
華火「ちゃんと理解してる?私は恋愛対象として貴方を見ているの……。」
夏鳴「…………….」
華火「嫌なら抵抗して。」
夏鳴「……嫌じゃないよ。」
華火「……どうして?」
夏鳴「……私も、好きだから。」
華火「信じられない….。今私とても幸せだわ……。」
夏鳴「うん、私も華火の事好きだったから信じられな……んっ……」
そう言いかけた彼女のマスクをずらして、小さな唇にそっとキスをした。
華火「ん……好きよ夏鳴……」
夏鳴「ん、私も……華火……」
華火「ねえ、抱きしめてもいい?」
夏鳴「うん、その前に起き上がらせて(笑)」
華火「そうね、急に押し倒してしまってごめんね。無意識だったのよ。」
夏鳴「大丈夫!んしょっと……華火いいよ!来て!」
夏鳴が両手を広げる。
華火「ねえ、少し重いかも」
夏鳴「いいよ、全部好きだから」
華火「……ありがとう」
そう言って私は夏鳴の太ももにまたがる。
夏鳴「ちょっとだけ、恥ずかしいね」
華火「ええ、大分ね。」
夏鳴「好きだよ?」
華火「私もだよ。」
夏鳴「ちゃんといってよ!」
華火「私、夏鳴のことがすごく好き」
夏鳴「私も華火が大好きだよ」
華火「面と向かって言うのって少し恥ずかしいわね」
夏鳴「うん、すっごく(笑)」
華火「はぁ〜……落ち着く……」
夏鳴の首筋に顔を埋める
夏鳴「苦しいよ華火」
華火「いい匂い、夏鳴の匂いがする」
夏鳴「体育あったし臭いかも、恥ずかしい……」
華火「ううん。夏鳴の匂い、とっても好きなの」
夏鳴「嬉しい…..ん……」
華火「ちょっと、私の首はやめてくれる?」
夏鳴「んぇ、なんで?」
華火「恥ずかしいわ」
夏鳴「そんなの私だって一緒だよ、それでも華火とくっついていたい」
華火「それもそうね、夏鳴だいすきよ」
夏鳴「ねえ華火、ちゅーしたい」
華火「私も……。」
夏鳴の唇は少し湿っていてマシュマロのように柔らかくて、唇をくっつけるのが心地よい。
夏鳴「華火……ん……」
ガチャ
店員「失礼します、お飲み物をお持ちしました!」
華火「スゥ……スゥ……」
夏鳴「えへへっ、この子私の膝の上で寝ちゃって(笑)」
店員「ふふっ仲良しなんですね(笑)」
夏鳴「ええ、まあ(笑)」
店員「では、失礼します」
ガチャ
華火・夏鳴「ひゃーーー!!」
夏鳴「華火ナイス演技!!」
華火「夏鳴こそアドリブが流石だったわ、それにしてもさすがに焦ったわね……」
夏鳴「ね……びっくりしたぁ……」
その後は普通に歌って普通に食事をして、いつもと同じように帰った。
夏鳴「楽しかったね!」
華火「そうね」
夏鳴「私たち、今日から恋人同士なんだね(照)」
華火「そ、そうなるわね……」
夏鳴「それじゃあ改めてよろしくね、”華”!」
華火「華……って……」
夏鳴「ねえ、華って呼んでもいいでしょ?恋人同士なんだしさ!」
華火「そうね、あまり慣れないけれど……」
夏鳴「決まり!今日から華ね!」
華火「ええ、じゃあまた明日ね」
そういって私は夏鳴を抱き寄せる。
夏鳴「離れたくないな」
華火「私もよ……」
夏鳴「愛してるよ、華」
華火「私も愛してるわ、夏鳴……」
人がいないことを確認してからマスク越しにキスをする
夏鳴「じゃ、またね!!」
華火「ええ、また明日ね」
手を握りしめてから別れを告げる。
明日もまた夏鳴に触れることが出来ることを考えたら、胸が高鳴った。
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