💛side
💛「なんだか顔色が少し良くなったみたいだ」
仕事前に、翔太のお見舞いに寄った。
翔太は窓から外を見ていた。 外は快晴。陽射しが強く、早くも夏の気配がする。梅雨なんてものはもう昔の話で、寒い冬が終わると、短い春が来て、もうすぐに夏だ。病室備え付けの遮光カーテンのお陰で、室内に射し込む光は柔らかだった。
そして、その柔らかい光の中にいる翔太は、こちらが息を呑むほどに美しかった。翔太は俺に向き直ると、見違えるように落ち着いた目をして、口元にも見たこともないような柔らかい微笑みをたたえていた。
💙「夢を、見たんだよ」
💛「夢?」
💙「そうしたら、勇気が出た」
💛「………」
💙「照、俺、もう大丈夫だから」
💛「翔太?」
💙「ここを出たら、俺はその夢を叶えに行く」
翔太は深呼吸して、俺を見た。
💙「照、協力してくれるか」
その後打ち明けられた翔太の立てた計画は、決して常識では許されるものではなかった。俺一人では判断がつかないし、下手をすればグループから阿部だけではなく翔太も失うことになるかもしれない。翔太はそれも覚悟の上だと言った。俺は翔太に賭けてみることにした。
💛「わかった。どんなことになっても、俺はお前を絶対に守る」
💙「ありがとう。本当にありがとう」
翔太はそう言って、俺に何度も頭を下げた。
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