💙side
照との約束の時間まであと3時間。
俺は、あの日以来初めて阿部の家に向かった。電話してもLINEを送っても無視されてしまうので、直接会いに行くしかない。
もっと早くこうすればよかったのに、俺は阿部の気持ちを無駄にしたくなくて、そして多分、どこかで阿部を疑い、傷つきたくなくて、今日まで行動に踏み切れなかった。 くよくよ考えているうちに、情けないことに身体を壊し、メンバーにも会社にも迷惑を掛けてしまった。今抱えている仕事にも大きな影響が出た。こんなことはもう終わりにしなくちゃいけない。
合鍵を持って、阿部のマンションの下まで行く。案の定、鍵を変えられたようで、合鍵は反応しなかった。俺は迷わず阿部の部屋の番号を呼び出した。
💚「はい」
💙「阿部。俺」
💚「………」
💙「見えてる?俺だよ」
💚「翔太、俺たちはもう…」
💙「18時から」
💚「え?」
💙「18時から俺のインスタ見て。それじゃ」
俺はそれだけ伝えると、マンションを出た。
自宅に仕事用のスマホをセットする。
照がサポート役として隣りにいてくれた。いつもライブ配信は会社の決まった部屋から、余計なものを映さないのがルールだ。個人の自宅での撮影は許可されていない。会社にバレた時点で強制終了もあり得る。それでも賭けてみるしかない。告知は出来ない。どれくらいの人が見てくれるかも分からない。でも、俺のことを好きな人たちが、俺の味方になってくれると俺は信じていた。
💛「時間だ。出来るか?」
💙「うん。繋ぐ」
俺はソファに座って、生放送を始めた。
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