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「今日、宅飲みしよーぜ!」
安達先輩はサークルが終わると、いつものように自分が主催している飲み会に俺たち1年生を誘ってくる。安達先輩は2年で、1年生は自分も含め同じ学科の早川たくやと近くの別の大学から来ている井上さきの3人しかいない。同級生だけだと人数が少ないので、ぜひ先輩たちとも仲良くしたいと言う気持ちはあるが、俺ら1年生のメンバーは実はあまりお酒が好きではない。
「今日はちょっとパスで…」
さきがそう言うと、たくやもさきに続いて
「僕もこの後バイトあるんで、厳しいです」
「えー、2人とも来れないの!?」
2人があんまり乗り気でないのを察すると、安達先輩は次に俺に目を合わせてきた。
「雄介はもちろんこの後暇だよな!?」
俺は正直この後暇だった。しかし、安達先輩の主催する飲み会はいつも吐くまで飲むという低俗的なもので、出来るなら行きたくはなかった。
「このあとは特になにもないんですけど、明日早く起きないといけないんで、厳しいっす」
夜通し行われる飲み会を断るには、これが1番いい言い訳だと思った。
「今日は大丈夫、すぐ帰れる!!」
しつこく迫ってくる。
「いや、絶対大丈夫じゃないですって」
俺は粘れば先輩も諦めてくれると思ったが、今回はそうはいかないようだった。
「安達さんが主催する飲み会毎回きつすぎるんですよ!!」
心からの叫びだった。
「いやいや勘違いしないでよ。今日は俺が主催したわけじゃないんだよね。」
「え?」
俺はびっくりして、固まってしまった。
「じゃあ、誰が主催なんですか?」
さきが不思議そうにそう聞くと、
「このサークルのOBの慎一さんって人なんだけど…」
「え、知らない」
聞いたこともない名前だった。
「まぁ、そうだよね。実は俺もあまり知らなくて、確か3年前に卒業した先輩らしいんだよ。」
「そうなんですね。なんで、そのしんいちさんが急に飲み会なんて企画したんですか?」
「なんか、新1年生と仲良くしたいんだってよ。」
「えー?」
7つも歳が離れてる後輩と仲良くしたいって変わり者すぎるだろと俺は思った。
「とりあえず、みんな誘えって慎一さんに言われちゃったから、遅くなってもいいんで、全員来ましょう!!場所は、慎一さんの家ね。後で位置情報送っとくから!!」
安達先輩はそう言い残して、去っていった。