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雑誌の撮影中、康二が場を盛り上げるためにおどけている。
周りのスタッフは笑っているけど、翔太だけが無表情。
康二:「翔太くん!このポーズ見てみ!雑誌に載ったら伝説なるで〜(ポーズ決め)」
翔太:「……またふざけてんの?空気読めよ」
笑いが止まる。康二は一瞬凍りつくが、冗談だと思って笑って返す。
康二:「なにそれ〜、冗談やろ?」
翔太:「マジで言ってる。お前、最近調子乗ってるよ」
康二の笑顔が、スッと消える。
撮影後、康二は翔太を呼び止める。
康二:「さっきの、本気で言ってたん?」
翔太:「……言った通りだよ」
康二:「オレな、頑張って空気読んで盛り上げてたつもりやった。でも、それが“調子乗ってる”って言われたら……キツいわ」
翔太:「……だったらやめれば?」
康二の目に涙が溜まる。
康二:「……それ、簡単に言わんといて。
笑ってるけど、オレな、ほんまはめっちゃ気にしいやねん。
翔太くんにだけは、そんな風に言われたくなかった」
ポロポロと涙が落ちる。康二が泣いている姿に、翔太も動揺を隠せない。
楽屋に1人で戻っていた康二のところに、翔太がそっと入ってくる。
翔太:「…康二」
康二:「…まだ怒ってる?」
翔太:「ちがう。怒ってたんじゃない。イラついてたのは俺の勝手で、お前に八つ当たりしただけ」
翔太が椅子に腰掛け、ため息をつきながら続ける。
翔太:「お前が明るくしてくれるから、現場が回ってるってわかってたのに。
俺、疲れてたからって、それに甘えてた。ごめん」
康二はしばらく黙っていたけど、ポツリと。
康二:「……翔太くんに嫌われたと思った。
オレ、どれだけふざけても、翔太くんには笑っててほしかった」
翔太がそっと隣に座り、優しく言う。
翔太:「嫌うわけねーだろ。お前がいなきゃ、俺たち、バランス崩れるんだから。
……ごめんな、康二。泣かせて」
康二は小さく笑って、涙をぬぐいながら言った。
康二:「もうちょい、優しく言ってくれたらええのに。翔太くん、不器用やねん」
翔太:「……わかってる。練習するわ」
2人の間に、静かだけど温かい空気が流れる。
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