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ゆっくり霊夢フォローしてえね!
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コメント
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ああ、読んだ読んだ! 第2話、めっちゃ良かったよ。 高貴で完璧な黒猫の自称と、実際はキャリーケースにカリカリ抗議してるギャップがもうね…可愛すぎて笑った。「白い服の悪魔」って呼び方もツボだわ。 あと、人間が泣いてるの見て暴れるのやめちゃうところ、心配してくれてるって分かってるからこその葛藤がじんわり来た。恐怖と信頼の間で揺れる霊夢の気持ち、すごく伝わってきたよ。続き、気になるなあ…。
いつもなら朝一番、太陽が東の空にのぼると同時に、僕は人間の枕元へと向かう。「おい人間、朝だぞ」と鼻先で彼女の頬をツンツンと突き、愛らしい鳴き声で目覚まし時計の代わりを務めてやるのが、この家の朝の決まりごとだった。
しかし今朝の僕は、クッションの上から体を起こすことすら億劫だった。
重たい瞼を押し上げると、目の前に人間の顔があった。彼女は着替えもせず、ボサボサの髪のまま、不安そうな目で見つめていた。
「霊夢……やっぱり、ご飯食べてないよね……。お水も飲んでない……」
人間の手には、いつもの黄色いお皿ではなく、持ち手がついた大きなプラスチックの箱が握られていた。
それを見た瞬間、僕の背筋に冷たい電流が走った。全身の毛がぞわっと逆立つ。
(な、なんだニャ、その不吉な箱は……!?)
思い出した。記憶の引き出しの奥底から、数年前の苦い思い出が蘇る。
あの箱に入された後、僕がどこへ連れて行かれたか。
消毒液のツンとする嫌な匂い。他の動物たちの怯えた鳴き声。そして、冷たい金属の台の上に置かれ、痛いことをされる——そう、あそこだ。動物病院だ!
(冗談じゃないニャ! 僕は高貴で完璧な黒猫だぞ! あんな拷問部屋みたいな場所に連れて行かれてたまるかニャ!)
危機感を察知した僕は、残された力を振り絞ってクッションから飛び起きた。そのまま素早くソファの下の狭い隙間へと滑り込もうとした。
「あっ、霊夢ダメ! 逃げないで!」
人間が慌てて手を伸ばしてくる。だが、僕の素早さを舐めてもらっては困る。いくら体調が悪かろうと、僕はこの家を統べる最強のハンターなのだ。スルスルと手をかいくぐり、ソファの下へと潜り込んだ。
暗くて狭いソファの下。ここなら人間のでかい手も届かない。完全なる安全地帯だ。
「お願いだから出てきて、霊夢……! 病院行かないと、どんどん辛くなっちゃうよ……!」
ソファの隙間から覗き込んでくる人間の目は、今にも涙が溢れ出しそうだった。声が震えている。
(泣くなと言っているニャ、人間。僕は病院なんて行かなくても、ここでじっとしていれば勝手に治るんだニャ。だからそんな悲しそうな顔をするな……)
僕は奥に縮こまりながら、フシューと低い警戒の声をあげた。本当は人間を威嚇したいわけじゃない。ただ、あの恐ろしい場所に行きたくないだけなのだ。
だが、人間も今回は引き下がらなかった。
「……ごめんね、霊夢。後でいくら嫌われてもいいから!」
人間はソファの前にひざまずくと、モップの柄を隙間に差し込んできた。僕の背後を優しく、でも確実に外へと押し出そうとしてくる。
(くっ……汚いぞ人間! 道具を使うなんて反則ニャ!)
押し出された僕は、たまらずソファの反対側から飛び出した。しかし、そこにはあらかじめ待ち構えていた人間が、大きめのバスタオルを広げて待っていたのだ!
「捕まえた……っ!」
「フニャーーーッ!?」
視界が真っ暗になった。柔らかい布にしっかりと包み込まれ、自慢の鋭い爪も封じ込められてしまう。
(離すニャ! 離せーっ! 暴れてやるニャ!)
僕はタオルの中で必死に身をよじらせたが、人間は僕を潰さない絶妙な力加減でしっかりと抱きかかえていた。そのまま、あのプラスチックの箱——キャリーケースの入り口へと誘導される。
バタン。
容赦なくプラスチックの扉が閉まり、カチリと鍵がかけられた。
(出せーっ! ここから出せニャ! 僕は病気なんかじゃない! ただの寝不足ニャー!)
扉の格子から必死に前脚を突き出し、カリカリと引っ掻いて抗議した。だが、ケースが持ち上げられ、ふわっと身体が浮き上がる。
「ごめんね、霊夢。すぐ終わるからね……がんばろうね」
ケースの上の覗き窓から、申し訳なさそうに、でも必死に僕を見つめる人間の顔が見えた。その瞳には、ぽろぽろと大きな涙が浮かんでいた。
(……チッ。泣き虫な人間め)
人間が泣いているのを見ると、なぜか暴れる力が抜けてしまう。僕がこうして閉じ込められているのは、僕を苦しめるためじゃない。この泣き虫な人間が、僕のことを心配してくれているからなのだと、頭では分かっていた。
だが、目的地があの恐怖の場所であることに変わりはない。
ガタゴトと揺れるケースの中で、僕は丸くなりながら、これから訪れるであろう試練に体を強張らせていた。
外の景色が流れ、ついに自転車が止まる。
ドアが開く音とともに、あの独特な消毒薬の匂いが鼻をついた。
受付の奥から、白衣を着た人物が歩いてくるのが見えた。
(来やがったな……『白い服の悪魔』ニャ……!)
僕はケースの奥で固まりながら、迫りくる敵(獣医)に向かって、静かに牙を剥いたのだった。