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イ「……ん…もう朝ですか…」
昨夜あのフラカスからの長電話のせいか起き上がるのが億劫だ…さっさと着替えて食事を摂ろうとベッドから起き上がると、ふと違和感を覚えた。
イ「…ん?」
この掛け布団…いつものと違う、もうずっと前に使っていたものと似ているような…まさかな…
イ「あっ、今日は日本さんとの予定があったんでした。早く準備して行かなければ…おや?」
スマホが見当たらない…いつも寝る前にベッドの側の机に置いてるんですが…辺りを探してみてもやはり無い…
イ「…まさか」
慌てて窓を開け、外を見るといつも違うロンドンの街が広がっていた。
あの後色々調べた結果、どうやら私は本当に過去に戻ったらしい。しかも『大英帝国』を名乗っていた時代だ。何故過去に戻ったかは大体察しがつく。昨日あのフラカスと電話をする前、かなりの魔力を使ったからだろう。遊びに来たカナダとオーストラリアが何の理由かは知らないが大喧嘩をし始め、屋敷の中をひっくり返したのだ…散々説教して追い出した後、手伝いもさせずに魔法で全て片付けた。その反動が来たのだろうと思うが、まだわからない…。
イ「それにしてもこんな大きな屋敷なのに、何故使用人が一人も居ないのか………ああ…そうか…」
あの”クソ野郎”が死んでから使用人を全員追い出したんでした…私に向けて暗殺を企む可能性がある者を徹底的に排除するために。確かその使用人たちを乗せた馬車を殺し屋に依頼して事故死として片付けたんでした…すっかり忘れてましたね。
イ「とりあえず、散策でもしますか…ん?」
部屋の中央にある机にいくつかの手紙が置かれていた。だいぶ昔を感じる新聞と綺麗な封筒が数枚…その中に見覚えのある模様が載せられた手紙を見つめる。
イ「……フランス王国」
“彼”とは私が英帝となる前、親同士の交流でよく会っていた。それなりに仲が良かったと思うし、よく屋敷を抜け出して遊んだこともあった。彼のアトリエで私をモデルに絵を描いていたこともありましたね…まあ、もう昔の話ですけど。
手紙の内容を省略するとフランスの建国記念パーティーが開かれるから招待する…か。記憶が正しければ、英帝となってから彼との交流は完全に絶たれていた。私が完全に避けていただけたが…
イ「…この国を見に行かないとですし、ついでに…彼への贈り物を用意するとしますか」
決して彼に会いたいとかそんなんじゃない、そろそろ”国”としてのメンツを正さなきゃですから、仕方なくやるのです。個人的な感情は一切ない…
これっぽっちも…
イ「…ここですか」
来たのはオークション会場。ここは珍しいものも多いですし、”彼”が気に入りそうな絵画もあるだろう。念の為身分がバレないように仮面をつけて会場へと上がる。
『Ladies and gentlemen!!お客様方、ようこそお越しくださいました』
『今夜も素晴らしい商品をご用意しております!どうぞ皆様、お楽しみください!』
『さて!最初の商品の登場です!こちらは…!』
(絵画を一通り見たのですが、良いものがありませんでしたね…仕方ない、この後美術館にでも行って買収しますか…)
『お次は不動産商品!新築一戸建ての屋敷をご紹介します!』
そう言って司会者は新築の絵を壁に貼り出す。構造からしてかなり大きい屋敷ですね。
イ(新築…ですか)
『こちらはあのテムズ川を前に建てられた新築の一軒家でございます!周りものどかで自然が豊かでございますよ〜』
イ(そういうのいいんでさっさと次に進んでください、一番大きな豪邸を買ってさっさと帰ります…)
『この新築には有名な画家たちが描いた様々な絵画も飾られており、ご購入の際はセットで付いてきます!』
イ「……絵?」
___イギリス!見て、この絵すっごく綺麗でしょ?僕のお気に入りなんだ!
イ「………」
『さあ、では15万ポンドから始めます!スタート!』
次々と値段が上がっていく…キリがいいところで出すか…と考えていると、司会者たちのスペースを挟んだ向かい側の席から一人の男性が番号札を上げた。
?「 40万ポンド 」
イ「!」
『よ、40万ポンド!他にいらっしゃいませんか!』
イ「…(なるほど、恐らく芸術に関心があるお方ですね…たかが絵であれほどのお金を注ぎ込むなんて…はぁ…)」
『…他にいらっしゃらないようですね、
ではこの商品は…イ「 50万ポンド 」!?』
?「!」
イ「…50万ポンドで」
イ(感謝しなさいフランス、あなたの誕生日盛大に祝ってやりますよ。今後あなたとは欠伸が出るほど戦争をすることになる。ですが、私は”英国”となり、あの地獄から身を引いたのです。自国を守る為ならこれくらいのお金払ってやりますよ。今後の彼との戦争を極力避けるためにもやれることはやっておかないと)
『50万ポンド!落札!』
『どうぞこちらへ』
会場裏に案内され、例の新築の手続きをする。家の鍵と証明書を渡され、身元保証の為の家柄のボタンを見せた。
イ「代金はグレート・ブリテン公爵家に請求してください、あと白紙小切手でお願いします。」
『グ、グレート・ブリテン様?!しょ、承知しました!』
(私の家柄が余程怖いんですね、まあ無理もないか。とりあえず、やることはやったのでさっさと帰るとしましょう)
またお越しください〜と言う背後からの声を無視してそそくさと会場を去った。
イ「…雨…ですか…」
先程は星々がよく見えるほど晴れていたのに…念の為傘を持ってきておいてよかったです。仮面を仕舞い傘を広げ立ち去ろうとした瞬間、「待って!」の声と同時に左手に温かい感触が伝わった。誰だととっさに後ろを振り返ると見覚えのある青い瞳がそこにあった。
フ「はぁ、はぁ…やっぱり…イギリス、だよね?僕のこと…覚えてる?」