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アーサーside
本田菊。彼はいつも1人でいた。
人と群れるのが当たり前の学校生活。その中で、彼だけは誰とも群れずにずっと1人でいる。
休み時間の彼は教室の端の机から窓を眺め、1人で黄昏れている。それは絵になるように美しかった。
それに引き換え、俺は俗に言う一軍というやつだった。いや……無理をして一軍グループとしか話さなかった。周りの目が怖くて、俺はお前らより上なんだぞって見せつけるためだった。
そんな俺だから、彼に惹かれたのだ。スクールカーストを気にしない、一匹狼みたいに冷たくて綺麗な瞳。人生で最初の恋で、一目惚れだった。
でも話しかけることはできなかった。この俺が、友達もいないような奴に話しかけたらカーストが下がってしまうから。
しかも男に恋をしたなんて言ったらカーストどころか、クラスから冷やかされて本田にも迷惑がかかると思ったからだ。
そんな時、俺に恋の女神が舞い降りた。
「はい!お兄さん上がりー!アーサーの負けー」
「まじか……で、なんだよ罰ゲームって」
「えーやっぱあれやな。嘘告!」
「はぁ!?」
「うわGood ideaじゃん。お前顔だけは良いからなーまんまと釣られてくれそう(笑)」
「期間は〜……3月までな!」
「お前らなぁ、」
「んで、誰にするつもりなん?」
「んー……あ!あの子は?教室の隅でずっと外見てる可愛い子」
「あー確か名前何やったっけな……とりあえず告白してみてや。結果楽しみにしてるでー!」
「ちょ、!あいつ男だって!」
本田だ。まぁこれはただのゲーム。振られたらそれで俺も諦めがつくだろう。そんな甘い考えだった。
「私で良ければ」
「……………は?」
「ほ、ほんとか?」
「はい。私、嘘ついたことないので」
告白をしたら、その返事はなんとOK。嬉しい、困惑、悔しい、そんな感情が俺の頭の中をぐるぐると駆け回っていた。
「その……嬉しい…これからよろしくな」
「………? はい、」
本田side
私はいつも1人だった。
好んで1人で居るわけではない。中学まで引きこもっていたせいで、コミュニケーション能力が著しく低下しまったのだ。
唯一まともに喋れるのは、引きこもりを克服(強制)させてくれた近所で、一学年下のアルフレッドさんと、義兄の耀さんぐらいだった。
そんな私には、ある悩みがある。
2年生の2学期始め頃から、アーサー・カークランドとか言う一軍グループの1人が私の方を見てくるのだ。
気づかれないように、休み時間はずっと窓の外を見て、黄昏れながら高嶺の花ごっこをしているが、それでもずっと彼からの視線が私から外れることなかった。
最近は、もしかして高嶺の花ごっこが痛いと思われてるんじゃないか?とか思い初めている。
一軍の視線よりきついものはこの世に存在するのだろうか。10軍ぐらいの私にその視線は苦痛でしかなかった。
そんなある日、その当本人に屋上に来るように。と下駄箱に手紙が入っていた。もしかしたらいじめられるんじゃないかと怯えながら屋上に向かった。
だが、自体は想像の斜め上をいったのだ。
「俺と付き合ってほしい」
告白だった。信じられなかった。
こんな私に一軍で、イケメンで、モテる、運動神経抜群のアーサーさんが私に告白してきたのだから。
絶っっっ対嘘告だ。
確信していた。アーサーさんが私を好きになるわけなんてないから。きっと前から嘘告のターゲットにされていたのだろう。だからあんな見てきたのだ。今までの疑問が、パズルのピースのようにハマって、解決していった。
別に私はアーサーさんのことなんて怖い陽キャってだけで恋心なんて抱いていなかったし、なにより、男の私に嘘告をするだなんて。私も立派な日本男児だ。馬鹿にされていることにも腹が立つ。
どうせ男に嘘告をしている時点で、振られる前提の告白なんだろう。それで振ったら振ったで、さっきから影に隠れているアーサーさんの知り合いさん達が彼を冷やかす為に出てくるんだろう。
それならOKして困らせてやる。なんて馬鹿な考えが私を動かした。
「私で良ければ」
「……………は?」
「ほ、ほんとか?」
ほら。やっぱりビンゴでした。
困惑を絵に描いたような態度に、なぜか鼻を高くした。
「はい。私、嘘ついたことないので」
あるに決まってるじゃないですか。なんなら絶賛今ついてますよばーかばーか
「その……嬉しい…これからよろしくな」
「………? はい、」
とりあえず返事をしたが、私の頭は「?」でいっぱいだった。彼の様子がおかしかったからだ。頬を赤らめながら……そんな、まるで本当に恋をしているかのような反応……
いや、いやいやいや、!きっとアーサーさんはイケメンだから美化されてるだけです!これはフィルターです!フィルター!駄目ですよ本田菊、こんな人に騙されては……、
こうして2人の恋人ライフ(仮)が始まった
コメント
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マジでこういう系好きすぎます!!天才ですね!?続き楽しみにしますね!!