テラーノベル
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ヒミコたちが倉庫街に着いた時、ちょうど日が没した頃だった。晴れた空が徐々に暗くなって行く中、目的の倉庫の建物まであと数十メートルという所でウルハが車を停めて、全員が降りた。
「トモエちゃん、手伝ってもらっていい?」
トワノにそう言われて、トモエは降りて車の後ろに回った。トワノはトランクからあの大きなプラスチックの箱を取り出して蓋を開いた。トモエがのぞき込むと、直径15センチほどの円盤のような物が六個入っていた。
トワノはその円盤状の物を一個取り出し、トモエに言った。
「ちょっとこれを頭の上に高く持ってて」
受け取ったトモエは、円盤の上に小さなプロペラが四つ付いているのに気づいた。トワノがタブレットの画面で指を滑らせると、プロペラが一斉に回り始め円盤がトモエの手から離れて宙に浮き、そのまま高さ数メートルまで上昇した。
「これ、もしかしてドローン?」
トモエがトワノに訊くと、トワノは次の一台を手渡しながら得意げに言った。
「マルチコプター型のね。これでこの辺りの防犯カメラをハッキングするんだ」
「あ! 防犯カメラ! そうか、ヒミコさんたちの裏の仕事を記録に残されないため?」
「そういう事。一台あたり半径五十メートルの範囲の防犯カメラに自動でハッキングして、今から五分前の映像を繰り返し記録に残させる。これが戦闘時のあたしの役目」
五台のドローンを空に放った後、トワノは最後の一台を胸に抱えてヒミコの方に小走りで駆け寄って言った。
「おねえさま、準備出来ました」
ヒミコはうなずいて皆に言った。
「ほな、乗り込むで。トモエはトワノの側を離れんようにな」
筒から出した日本刀を右手で下げたヒミコが歩き出す。後に続いて、皆が目的の倉庫の建物へと足を進めた。
倉庫の中には、イオンと三人の男がいた。イオンに闇バイトの面接をした中年の目つきの鋭い男、ファミレスでイオンとトモエの会話を盗み聞きしていた若い男、そしてイオンも初めて会う革ジャンを来たマッチョな中年の男。
それぞれスマホでゲームをしたり音楽を聴いたりして時間を潰していたところで、倉庫の入り口のシャッターがガンガンと叩かれた。目つきの鋭い中年の男が扉の方に視線を向けて言った。
「アサミか? まだ約束の時間には早いが」
イオンは座っていたパイプ椅子からぴょんと飛び起きて、男たちに言った。
「僕が見て来るよ」
イオンはシャッターの横にある通用口のドアを少し開け、外を見て大きくドアを開け放った。ドアをくぐって現れたホワイト・リズムの他の六人を見て中年の男が怒鳴った。
「何だ、そいつらは? てめえ、なに勝手に中に入れやがった?」
イオンは先頭のヒミコの後ろに下がり、トワノから一組の幅の広いリストバンドを受け取り、両手首にはめた。水色のリストバンドの上には、盛り上がった刺繍で右手に風神、左手に雷神の絵が描かれていた。
革ジャンの男が少しぎこちない発音の日本語で怒鳴った。
「どこの組織の人間だ?」
ヒミコは日本刀を両手で水平に持ち、柄に手をかけて引き抜いた。白木の木刀のような刀身が現れる。ヒミコは黒い外鞘をポンと後ろ向きに放り投げた。トモエが駆け寄ってその鞘を拾ってトワノの側に戻る。
若い男が笑いながら言った。
「はあ? なんだそのオモチャは? ねえちゃん、チャンバラでもしに来たのか?」
ヒミコは黙って白木の刀身を少し押し込み、すうっと抜いた。それはカムフラージュのための内鞘で、中から通常の日本刀の半分ほどの幅の鈍く銀色に光る刃が姿を見せた。男たちが一瞬息を止めて、それぞれの上着の内側に手を突っ込んだ。
トワノが最後のドローンを倉庫の天井近くまで飛ばした。白木の内鞘をまた後ろに無造作に放り投げて、ヒミコが首の後ろで髪をくくっている紐を解いた。広がった長い黒髪を揺らしながらヒミコが言い放った。
「おイタの時間は終わりや。三途の川渡っておくれやす」
コメント
1件
うぁ〜第39話、めっちゃアツかった!!😭💕💕 トワノちゃんのドローンで防犯カメラハッキングとか完全にプロ集団じゃん…!ヒミコさんの刀、まさかの二重構造でバレずに本丸出すスタイルかっこよすぎる…!「三途の川渡っておくれやす」の決め台詞、痺れた…!!このシーンのために積み重ねてきたんだなって感動したよ…✨ 続きが気になりすぎて今夜眠れないやつだこれ…!!笑