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「お母さん。なんで私だけお稽古しないといけないの?」
懐かしい声が私の脳裏をよぎった。
嗚呼。これが走馬灯と言うものなのか。
「貴方は正しい人間なんだから正しくいなさい。」
母は前から私を1番の弓使いにしたかったそうだ。
「でも…私だって流華みたいに自由に遊びたい…..」
私はいくら頼んでも母は聞く耳を持たなかった。
死にたい。
こんな生活から逃げるにはその方法しか無かった。でも心の中でそれを隠してもう死にたいなんて思わない様にしようと決めた。
誰にでも好かれる様に笑顔を振りまいて。ずっと1人で笑って。そんな生活をしているともう作り笑いしか出来なくなってしまった。
「私の事はいつも死んだ方がいいと思ってる癖に。」
は?
何故いつも自由に生きていた流華がそんな事を言うの?いつも“ありのまま”でいられる癖に。作り笑いなんてしなくても生きていられた精神がある癖に。
私は流華の頬を平手打ちした。
「誰1人死んでいい人なんて居ないッ!」
そうだ。
私は
流華を愛しているから。
こんなに流華に生きていて欲しいのは愛しているから。
こんなに戦場へ出て欲しくなかったのは流華を愛しているから。
心の奥底にあった本当の感情が溢れて来る。
私は流華の手を握り、逃げた。こんな事してもいいのかと自分でも思った。でも私の本能が逃げた。
「日向。今までごめんね…」
何故流華が謝るの?
悪いのは私だったのに。いつも流華に話しかけようとすると母から失敗作とは関わるな。と止められていたから怖くて話せなかった。もしも“戦争”なんてなかったら私達はきっと日の光の下を笑って手を繋いでいたのだろう。でも今は違う。朝も夜も春も秋も、変わらず誰かが何処かで死ぬ。私には才能がある。その才能は皆んなの為に使わないときっと神様に怒られてしまう。
戦わなくては。
助けなければ。
でも1番助けたいのは_______
矢が私の胸を貫いた。
きっとこれは今までの私への罰だ。
「日向ッ!ひなたぁ..!」
弓使いになると言う夢も、明日も何も要らない。流華が生きてさえいればそれでいい。
そうだ。 本当は、そう言う事を伝えたかった。
「流華………」
「愛してる。」
私の1番伝えたかった言葉。
「~ッッッ!私だって!」
『愛してるよ!!』
もう痛みなんて感じない。私が感じるのは
『愛』だ。
ねぇ流華..?
生きて。生きて。生きて。生きて。
___________生きろ________
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