「皆さん!直ちに避難してください!」
「避難ってどこに行けばいいのよ!」
「ああ、もう終わりだ。もう死ぬんだ」
未来都市『ステーブルシティ』には建物建物に炎が引火していく。その様を人々は見つめることしか出来なかった。
「諦めるのはまだ早いです!私が貴方達を…いや、この世界を救ってみせます!」
立ち上がったのは一人の科学者・浅月イノリだった。
「そんな馬鹿な事を言うな!第一君は18歳のただか弱い娘だ」
「そんな事しか言えない貴方の方がよっぽどか弱いですよ」
「………」
そう言うと、彼は黙り込んでしまった。
「この炎の謎を解くために私は過去へとタイムリープします。必ずヒントを見つけて帰ってきますから」
「絶対に、絶対に帰ってくるのよぉ!」
(お母さん……)
タイムリープは危険だ。そんなのもうとっくに分かってる。数々の科学者が何度か挑戦したけど、無事に帰って来る者は一人もいなかった。
早速未来研究室に入ってまずは計算だ。行きたい時代にセットしてここ(2053年)と行きたい時代とで計算しなければならない。その計算が一つでも合っていなかったら誤作動で違う時代に行き着いてしまい、帰れないと言う。そんな超危険なタイムリープに私は挑もうとしている。
(大丈夫、私なら出来る!)
そう心に決め、PCに計算を打ち込んでいく。一つのミスも許されない計算は冷や汗を掻く。
「よしっ!計算できた!」
あとはタイムリープ出来る見た目は腕時計な『タイムウォッチ』とPCを電気ケーブルに差し込んで計算を入力すればタイムリープ出来る。
「お願い!成功して!」
目を瞑ってタイムリープするのを待つ。一瞬、ふわっと体が無重力になった気がした。これは時空を移動している証拠だ。
ふわふわと宙に浮いているような感覚が襲ってくる。この先に過去が待っている。そして、皆んなの笑顔が待っている。
(私が絶対に世界を救うんだ!)
何分かして、とある世界に着いた。ここが設定通りの過去であってほしいと願う。
「まずはここが西暦何年か聞かなくちゃね!」
私は早速人々に声を掛けた。
「すいません、聞きたい事があるんですけど………」
「はい、何でしょうか? 」
買い物の途中だった女性に声を掛けた。
「今って西暦何年でしょうか?」
「え?2024年ですけど。それがどうかしたんですか?」
「いえ、教えて頂きありがとうございました」
私は女性にお辞儀をして、その場を去った。
「やった!ちゃんと設定通りにタイムリープして る!」
あとはヒントを見つけてちゃんと帰れるかだ。それは時と場合による。万が一帰れなかったら地獄が待っているだろう。
「この世界で私はヒントを見つけるんだ!」
人を助けるのが好きだった。だからこうやって人の役に立てる事を光栄に思う。私は負けずに頑張る。炎の秘密を解いて皆んなを助ける。それが私の【試練】だ。
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