「生きていてごめんなさい」

これがいつのまにか口癖になっていた

弱音ばかり吐いているつまらぬだけの人生

村の人達は皆きれいな黄の髪

仲間外れの私 人と違う茶色の髪

森の奥で密かにそびえ立つ千年樹

私はここで一人神に願いをかけた

(孤独に生き続けること、それはとても寂しい。誰でもいい私の友達になって欲しい)

彼女と出会ったのは千年樹のすぐそば

倒れていた彼女を助けたのが始まりだった

いつのまにか私と彼女はとても仲良くなった

だけど、私と彼女は何もかもが違った

村の中の誰よりきれいな黄の髪

その優しい声と笑顔 誰からも愛された

どうしてこんな私にも優しくしてくれるの?

自分より劣る女を憐れんでるつもりなの?

卑屈な私を抱きしめて彼女は囁いた

「あなたは誰より素敵な人よ」

その言葉に涙がこぼれた

たとえ世界の全ての人が

私を蔑み笑っても

必要としてくれる人がいる

それだけで幸せだった

二人で村を飛び出して 街で暮らし始めた

不慣れな生活でも二人一緒なら大丈夫

裕福な商人の婦人の使用人

生きるために選んだ私たちの仕事

ある日屋敷で見かけた青い髪の優男

あいつと彼女の出会いが全てを狂わせた

海の向こうの国の王 彼は彼女を深く愛し

隣の国の王女の求婚を拒んだ

国は戦火に包まれた

王女が下した命令

「黄の髪の女は全て殺してしまいなさい」

みんなみんないなくなった

茶色の髪の私以外

彼女の代わりに私が死ねばよかったのに

どうして、どうして、、、！

港町の教会で新たに暮らし始めた

革命で王女が死んだと風の噂で聞いた

彼女と出会ったのは教会のすぐそば

倒れていた彼女を助けたのが始まり

いつのまにか二人はとても仲良くなった

だけど私と彼女何もかもが違った

誰もいない夜の懺悔室

偶然聞いてしまった彼女の告白

「どうして私を殺そうとするの、、?」

ああ なんということでしょう

彼女は正に

-悪ノ娘-

街はずれの小さな港

一人たたずむあの娘

私は背後から近づいた

懐からナイフ

取り出して王女の背中に向けて

振り上げた

あなたに謝らなければいけないことがあるの

私、結局あなたの仇はとれなかった

あの娘は昔の私と同じでとてもとても孤独な人

一人で行き続けることはとても寂しい

「どう、うまく焼けたかしら?」

「ええ、とってもうまく焼けているわ」

なにもできなかったあの娘

少し料理がうまくなった

今日のおやつのブリオッシュ

とってもうまく焼けてる

あの時あの海辺で一瞬見えた幻覚

あの少年はいったい誰だったのかしら?

悪ノ娘シリーズより 白ノ娘