テラーノベル
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ただ、限界が来ただけだった。
「……っ……!」
フィリアの身体が、大きく揺れる。
クレハの放った光が、直撃する。
防ぎきれない。
吸収しきれない。
そのまま、弾き飛ばされる。
「フィリア!」
アルトの声。
地面に叩きつけられる音が、やけに重く響いた。
だが同時に。
「……あ」
クレハの身体も、わずかに崩れる。
フィリアの反撃が、確かに届いていた。
腕の一部が裂け、光が不安定に揺れている。
「……やるね」
小さく呟く。
けれど、無理はできない。
そのとき。
「もういい」
シオンの声。
静かに、でもはっきりと。
クレハの隣に立つ。
「目的は果たした」
クレハは少しだけ不満そうに目を細める。
「……まだ、いける」
「いけると、“壊れる”は違う」
シオンは短く言う。
そのまま、彼女を抱き寄せる。
「退く」
その一言で、空気が変わる。
「……待て!」
アルトが叫ぶ。
一歩、踏み出す。
けれど。
シオンは振り返らない。
「次は、ちゃんと選べよ」
それだけを残して。
光が、消えた。
静寂。
残されたのは、傷と、熱と、息の荒さ。
「……フィリア!」
リュシアが駆け寄る。
ノクスも、すぐ後ろに続く。
アルトは、一瞬遅れて動いた。
フィリアは、動かない。
「おい……」
膝をつく。
手を伸ばす。
その指先が、かすかに震える。
「……フィリア」
呼ぶ。
返事はない。
ただ、微かな呼吸だけが、そこにある。
「……大丈夫、だから」
リュシアが言う。
でも、その声は強くなかった。
アルトは、フィリアの手を取る。
冷たい。
でも、まだ消えてはいない。
「……なんで」
ぽつりと、呟く。
「なんで、ここまで……」
答えは、返ってこない。
代わりに。
フィリアの意識は、深く沈んでいった。