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もう、辺りがすっかり暗くなり、教師も生徒もいないはずの校舎に二人の男女がいた。一人は、灰色の髪の美少年、もう一人は金髪の美女のエルフだった。
「フィールくん、なんだか不機嫌ねぇ。どうしたの~。」
「リイが……さびしそうだったんだ。」
「えっとぉ、それだけかしら?」
ディーテは笑顔のままかたまっていた。それでも、フィールは気にすることなく、話を続ける。
「あの表情は、目のこと……いや、家族のことを思い出したものだった……」
そのとき、リイが淋しそうだったことと、フィールが憂鬱そうだったことが結び付いた。
「そうなの……」
「……」
「……」
二人の間に沈黙がながれる。しばらくそのままで、何も話さなかった。
「そろそろ、帰るか。」
「そうねぇ。」
二人はこれ以上会話をせずに黙々と帰っていった。
「おはようだぞー!」今日も変わらない元気な声が教室に響きわたった。すると、今日はいつもと違って返事が返ってきた。「ああ、おはよう」と。ルウゼスが返事をしたの。それに一番驚いたのはリイではなく、周囲の人たちだった。
「うそ、信じられない!」
「偽物!?」
教室が一気にザワザワしはじめた。ルウゼスはなんか失礼なことを言われたが表面上は気にすることなく、席につく。その様子に周囲の人たちは、もっと驚くのだった。
後日、ルウゼスの机にはそっとカウンセラーの紙が置かれていて、それを見てぶちギレるルウゼスを見て、周囲の人たちは心の底から安堵したらしい。
放課後、リイは部活動見学に行く事になっていた。ルウゼスは中等部から、部活に入っていたので高等部も引き続きするらしい。ルウゼスは悪ガキだったが、部活動だけは超真剣にやっていたのだ。
「リイ、見学にいくぞ。」
「フィール!」
フィールが案内してくれるとわかり、嬉しそうだったがリイは疑問に思うことが一つだけあった。
「フィールってここに来たばっかりだけど、全部部活覚えてるのか?」
「昨日、必死に覚えた。」
「すごいぞ!」
そのことがリイは不思議だった。普通、来たばかりの教師に部活の案内を任せるだろうか。それを不思議に思ったのはフィールもだった。
「でも、何で俺なんだろうな。もっと、詳しい教師はいるはずなのに。」
「我は嬉しいぞ!フィールと一緒にいれるからな。」
リイが素直に思いを告げるとフィールは顔をそらした。耳まで真っ赤な顔を見られないように。
「まず、ここが魔術研究部、魔研だ。」
部室には魔法陣や魔術書などがあった。リイは好奇心旺盛なので何にでも興味津々だった。
「はわ~」と目を輝かせて部室のものを見ていると、その様子が部長の目にとまった。
「キミ、魔術に興味おありで?」
「うむ!」
「そうか、そうか!ところでキミ、初等部?中等部?」
「えっ?」
「あ、部長、リイは高等部だ。」
自分が高等部に見られていないことに驚いて、フリーズしているリイに代わって、フィールが答えた。
「えっ、飛び級?」
「ま、まあそんな感じだ。」
リイの見た目は小中学生くらいで、どう頑張っても高校生には見えない。なので、飛び級と言ったほうがリアルに聞こえるのだった。
「リイ、そろそろ次のところへ。」
「うむ!」
「興味があるなら、入部大歓迎だからな!」
「ありがとうだぞ!」
それから、リイたちはたくさんの部を見てまわった。誘惑部、召喚魔術部、剣術部など……。
「なにか、いい部はあったか?」
「全部、面白かったぞ!」
リイはすべての部で目を輝かせており、「興味津々!」とすべての部長に喜ばれていたのである。
とうとう、あと見ていない部活は2つだけになった。一つはルウゼスが入部しているところだった。
「ルウゼスとは仲良くなったんだな。」
「うむ!そうなのだぞ。」
フィールはリイに友達ができたことを嬉しく思った。なのにフィールは、ルウゼスのいる部に行くのを嫌そうにした。部室のドアを開けるのをずっと躊躇っているのだ。
「大丈夫か?フィール。」
「あ、ああ。」
リイが心配そうに見るのでフィールは仕方なくドアを開けた。
すると、フィールは目をそむけ、リイは何度も目を瞬きさせる。なぜなら、ドアを開けると目に入ってきたものは自分たちが考察された大量のだったからだ。
部室のドアのところで立ち止まっている二人を見つけた部長が歓迎の挨拶をする。
「ようこそ!!聖魔神研究部へ。」