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町まで歩いて戻ると依頼主が町の入り口で待っていた
「大丈夫でしたか?ジスさん。サクさん。お怪我などはないですか?」
初老の人の良さそうな男は心配そうに俺たちを見る
「2人とも大丈夫だ。おそらく魔獣はすべて退治したぞ」
俺はそう答えながら退治した証拠である魔獣が死んだ後に残る魔獣石を依頼人に手渡す
「ありがとうございます。こちらが今回の代金です」
「どうも」
報酬を受け取ると同時に依頼人に腕を捕まれた
「え?」
「実はうち風呂屋をやっていまして、お礼といってはなんですがせっかくですのでうちの温泉で疲れをとっていって下さい」
唐突な話に思わずサクの方を見るとサクはうんうんと頷いていた
「じゃあ···せっかくだから入らせてもらうか」
つれられてたどり着いた所は町の外れにある温泉宿のような所だった
「まだ人を入れる前なのでゆっくりしていってください」
温泉前の脱衣スペースまでつれてこられて、依頼主はそう言って出ていった
「ちょっと強引だがいい人だな」
「だね」
少し苦笑混じりに話しつつ服を脱ぐ
改めて見ると意外とかすり傷とかあるなと思いつつ服を脱ぎ終わってサクの様子を見ると、さっき、戦闘の前に見えた首輪のような物が目に止まった
黒くて固そうなそれは二つの輪が前と後ろでばつのように交差するような感じで、前面の交差するところにひし形の赤い石がはまったチャームが着いている
サクは他の衣類は脱ぎ終わったようで温泉の方に向かおうとしている
「なあ、サク。その首輪?は外さないのか?」
「えっ?ああ。これね···」
振り返ったサクは首元に手をやって納得したような声を出す
「···これは外れないやつだから」
少し気まずそうにそう言ったサクは困ったように微笑む
「···なるほど」
多分、首輪にも何か理由があるのだろう
俺は追及を止めて二人で温泉の方に向かう
さっと体を洗って温泉に浸かると、凝り固まった筋肉がほぐれるような、ふっと力が抜ける気持ちよさだった
「はぁーー」
つい、長いため息をつく
まさに疲れがとれるかんじがするなぁ
ぼーっと湯に浸かっていると少し遅れてサクも入ってきた
ちらりと様子を伺うとサクもため息をついて気持ち良さそうに目を細めている
不覚にも可愛いなと思ってしまう自分に少し戸惑いながら横目にサクを見る
しかし黒くて固そうな首輪がはまった細い首になんとなく目が行ってしまう
旅人にしては珍しい白い肌はおそらく、普段から口元まである上着に隠れているせいだろう
白くて柔らかそうな細い首を眺めているとなんだか無性に噛みつきたくなった
自分の犬歯を食い込ませて歯形をつけたいと思ってしまった
さすがに考えてることヤバいな
なんのつもりだ。俺。
さすがに行き過ぎたことを考えてると反省し、目線を反らす
そのままお互い心行くまでのんびりして湯に浸かって疲れを癒した