zm side
zm「友達になって!!」
我ながら幼稚なお願いやなって思う。
でも、本心やった。
昔から危なっかしい性格の俺は友達なんて呼べるものができたことがない。
俺の性格を見てか、親は俺の事は放ったらかしで、なのに、喧嘩してきたら何回も怒鳴られた。
家にも学校にも居場所がない俺はただグレる事しか出来なかった。
「何で喧嘩するんだ」「何で傷つけることしかしないんだ」「なんでお前は迷惑しかかけないんだ」
酷い時には殴られることもあった。
でも、親には手を出さなかった。だって、自分を育ててくれた親やしな。
親は俺のやった事だけ咎めて、俺の話なんて聞いてくれない。
それだけで俺の心は壊れていった。
em「いいですよ」
そいつ…エーミールは微笑みながら俺に言った。
zm「え…」
em「だから良いですよって!」
友達になってくれると言うことなのだろう…
嬉しかった、嬉しくて嬉しくて、今俺はどんな顔をしているのだろう…って考える程だった。
zm「ほ、ほんま?嘘やない?」
em「何故嘘つく必要があるんです?」
エーミールは首をこてんと傾ける。
その時俺の心臓がドキって言った。
な、なんなんやこれ…ドキドキが止まらんくて…今初めて、会ったばっかやのに…
em「あ、それでは私は帰りますね」
zm「え」
em「早く帰らないと両親に怒られてしまうので」
そ、そっかぁ…こいつは、親に愛されとるんや。
帰りが遅くなって怒られた事なんてない。むしろ、そのまま出てけみたいに言われることの方が多い。
俺は…ほんまにエーミールの友達になってええんやろか。
ヤンキーで皆から恐れられてきた俺が…放ったらかしにされた俺が、愛されてるエーミールの傍になんて…
そんな事を思っている間にエーミールは帰ってしまった。
zm「……バイバイって言ってないな」
1度は言ってみたかった言葉。
「バイバイ」も「おはよう」も。
朝、学校に行ったら友達がいて、「昨日のあれ見た!?」って…1度はやってみたい。
でも、エーミールもきっと…俺の事怖がってるんだ。
殴られたくないから、あーやって言っただけだ。
きっと明日にはまた、俺の噂が流れてるだろう。
もういいや…そんな事には慣れてる。
家に着いた。
おそるおそる扉を開ける。
父「おい、また喧嘩か?」
早速父さんからの声が降りかかる。
zm「今日は喧嘩ちゃうし…」
父「どうだかな、お前の言うことは信用ならん」
じゃあ聞くなよ、なんて言葉は飲み込んで自室に戻ろうとする。
父「次、喧嘩したらお前を監禁するからな」
zm「は、?」
父「当たり前だろう、これ以上人様に迷惑をかけるようであれば、この家の汚点だ。」
「母さんと話し合って決めたんだ。」
「その時はお前のその目も潰してやる。」
…この家の汚点か。
まぁそうよな、皆ちゃんとしとんのに、いきなり俺みたいな奴が生まれるんやから。
目つきは昔から悪いし、目の色は緑色。その上、ヤンキー。
フードを被れば完全不審者や。
まぁでも…
zm「エミさんに会いたいから喧嘩辞めるか…」ボソッ
嘘でもはじめて出来た友達の為に、俺は喧嘩を辞めることにした。
コメント
4件
emさんの為に喧嘩を辞めるzm…やっぱ優し~… zmの話は聞かない癖に両親は勝手に決めつけてんじゃねぇよぉぉぉ!!! 何だよ監禁って犯罪だよ!!知らんけど!!それは親がやるようなもんじゃねぇよッ!
毎回更新早くてたくさん読めるので作者さんに感謝してます! これからもよろしくお願いします!