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#いじめ
るあ🩵🦊🌙
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菊池川詠人
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それからクリスマスが来て正月が過ぎた。が、色恋沙汰には無縁な晶子にとっては、何か特別な事が起きるでもなく、カンナもバイト先が書き入れ時という事らしく、それぞれに塾通いとアルバイトに追われて過ぎた。
3月の初旬、駅の近くで偶然森口沙織に出会い、彼女が大学に合格した事を知らされた。心から晶子はお祝いを言い、沙織はそのうち、カンナも誘って一緒にどこかに遊びに行こうと、満面の笑顔で言った。
そして春が来て、二人とも2年生になった。その間も何かドラマチックな事が起きたわけではなかった。カンナが期末試験で二つも赤点を取り、あやうく留年しかかった事を除けば。
4月の終わり、久々に二人で出かける機会があった。外出用の上品なワンピースに着替えた晶子はあの踏切へ行った。いつもなら先に待ち合わせ場所の踏切の側に来ているカンナがまだいなかったので、晶子が団地に迎えに行く事にした。
晶子には見分けがつかない似たような造りの建物を、番号表示を頼りにたどって行くとカンナの姿が見えた。
派手なTシャツ、デニムのジャンパーとミニスカート、武骨なスニーカーといういつものいで立ちのカンナに、中年の男性がぺこぺこ頭を下げながら食い下がっていた。
晶子は直感的に、自分は姿を見せない方が良いと思い、近くの自転車置き場の陰に身を潜めた。二人とも大きな声で言い合っているので、自然と会話の内容が聞こえて来てしまった。
その中年の男性はカンナのジャンパーの裾を指でつかんで引き留めて、しきりにカンナに懇願していた。
「なあ、頼むよ、カンナちゃん。あいつが会ってくれそうなのは、あんたぐらいしかいねえんだから」
カンナは迷惑だ、という表情を隠そうともせず、年上の男性に向かってずけずけと言い放つ。
「親なんだから自分で渡せばいいじゃねえか」
「そう言わねえでくれよ。電話にも出ちゃくれねえんだ」
「自業自得ってやつだろ」
「カンナちゃんしか頼める相手いねえんだ。よし、今度パチンコの景品でチョコレート取って来てやるからさ。チョコ好きだろ?」
カンナは聞こえよがしに舌打ちして、男性から薄い封筒を受け取った。
「分かったよ。今日のところはそれで買収されてやらあ」
「で、ついでに、家に顔出すように言って……」
「調子に乗んじゃねえよ。それこそ親なんだから自分で言いな!」
カンナが敷地の外へ向かって大股に歩きだした。晶子はそっと後ろから小走りにカンナの側へ寄った。
「カンナ、カンナ」
「わあ、びっくりした! なんだ、晶子、近くにいたのか?」
「なにか揉めてたの?」
「いや、頼まれごと。こいつを」
そう言ってカンナはさっきの男性から受け取った封筒を晶子の店、二つに畳んでジャンパーの内ポケットに入れた。
「娘に届けてくれだとさ。高校のクラス会の案内なんだけどな。まったくあの森口のおっちゃん、昔から面倒な事ばかり頼んできやがる」
「娘……森口……」
晶子はカンナの腕をつかんで、訊いた。
「森口沙織さんに関係ある事?」
コメント
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あ、第43話読んだよ〜。日常の空気感がじわじわ染みてくる感じ。カンナがおっちゃんに頼まれて封筒受け取るシーン、彼女の気の強さとちょっとした優しさが混ざっててすごく好き。晶子が「森口沙織さんに関係ある事?」って聞くところで、一気に空気変わったよね。続きがすごく気になる…!