テラーノベル
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闇の中、足音が一つだけ響く。
ゆっくり。
確実に。
こちらを恐れていない歩き方だった。
おんりーは銃を構えたまま、視線を逸らさない。
おんりー「……一人、か」
MEN「周りに気配なし。
相当、自信があるな」
足音が止まる。
照明が一段だけ点き、影の中から男が姿を現した。
敵指揮官「警戒心は十分。
それでも撃たないのは……話ができると踏んでいるからか?」
MEN「撃つ価値があるか、測ってるだけだ」
男は小さく笑った。
敵指揮官「なるほど。
MEN、そして――おんりー」
おんりーの目がわずかに細くなる。
おんりー「……名前まで知られてる」
敵指揮官「当然だ。
今日の主役は君たちだからな」
男は一歩前に出る。
その距離は、銃を下ろさなくても会話ができるほど。
敵指揮官「正直に言おう。
ここまで来るとは思っていなかった」
MEN「それで?」
敵指揮官「評価が変わった。
特に――」
男の視線が、おんりーに向く。
敵指揮官「君だ。
後ろにいながら、戦場全体を動かしている」
おんりー「……褒め言葉はいらない」
敵指揮官「だが事実だ」
一拍。
敵指揮官「だからこそ、理解できない」
男は、静かに言った。
敵指揮官「なぜ“相棒”に固執する?」
空気が、張り詰める。
MEN「……何が言いたい」
敵指揮官「君たちは優秀だ。
単独でも、十分すぎるほどに」
敵指揮官「それでも互いを切らない。
分断すれば弱くなると分かっていながら」
おんりーは一歩前に出る。
おんりー「……答えは簡単だ」
敵指揮官「ほう?」
おんりー「一人の強さより、
二人で“戻ってこれる”ことを選んでるだけだ」
MENが、静かに頷く。
MEN「俺たちは、勝つためだけに動いてない」
敵指揮官は一瞬、言葉を失ったように目を細めた。
敵指揮官「……非合理だな」
おんりー「そうかもな」
おんりーは銃を下ろさず、言い切る。
おんりー「でも、その非合理で
あんたの計画は全部崩れた」
沈黙。
敵指揮官は、ゆっくりと息を吐いた。
敵指揮官「……確かに」
男は、初めて苦笑を浮かべる。
敵指揮官「君たちは、俺の“想定外”だ」
MEN「だったら――」
MENが一歩踏み出す。
MEN「ここで終わらせる」
敵指揮官は、その言葉を聞いても慌てない。
敵指揮官「いや……今日は退く」
おんりー「……逃げるのか」
敵指揮官「生きていれば、続きを考えられる」
男は背を向ける。
敵指揮官「だが、忘れるな」
振り返らずに、言い残す。
敵指揮官「次に会う時は、
“守る余裕”は与えない」
足音が、闇に溶けて消える。
しばらくして。
MEN「……行ったな」
おんりー「……ああ」
緊張が抜け、肩の力が落ちる。
MENは、隣を見る。
MEN「……無事でよかった」
おんりーは一瞬だけ目を伏せ、答えた。
おんりー「……一人じゃ、無理だった」
MEN「俺もだ」
二人は、自然に背中を合わせる。
通信機が、はっきりと音を立てた。
『こちらドズル。
敵の主力、撤退を確認した』
おんりーは息を吐く。
おんりー「……終わりました」
『よくやった。
戻ってこい』
二人は顔を見合わせ、静かに頷いた。
この戦いは、まだ完全には終わっていない。
だが――
二人で戻れる。
それだけで、十分だった。
次回最終回!!
ラストまで見届けていただけると嬉しいです…!
コメント
2件
え、めちゃ好きです(((( とりあえず全話に♡10押してきました! 本当はもっと押したいけど、、 10しか押せないんですごめんなさい💦(ブラウザ民)