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「でも、私は坪井くんからじゃなくて優里から聞きたかったし、優里と一緒に……芹那ちゃんのこと考えたり悩んだりしたかった」
「……ま、真衣香」
「私人付き合いが苦手だし、優里以外にそんな相手いないこと知ってるくせに……その優里がこんなことして、今もまだ信じられないし」
優里の透き通るような白く綺麗な肌、その中で嫌に目の下のクマが目立つ。胸が痛くなるけれど噴き出るような言葉が止まってくれない。
「私に、知られないうちに全部終わらせようとしてたのもショックだったよ」
「……ごめん」
「優里にも色々考えがあったように、私だって……たくさん悩んで決心して、決めたことなんだよ。坪井くんと一緒にいようと思ったの」
落ち着いていた声が、段々と感情を含み出してしまった。
けれど、押し隠せないでいる。
「優里だから一番に報告して……なのに、その優里が私に何の相談もなく私たちを別れさせようとしたの」
優里は何も返してこなかったし、真衣香は自分の気持ちがわからなくなっていた。
自分の小ささを思い知る。
もっと余裕のある時だったなら、笑って許せたのだろうか?
なのに、今、真衣香は自分のことで精一杯だ。
どうしたって優里を思いやる余裕が、うまれてこない。
そのことが、怖いし、悔しいし、薄情だと思えてしまう。
「ごめん、優里。今日、これ以上まともに話せそうにないの」
「……真衣香」
「ゆっくり考えたい。まだ、芹那ちゃんのことだってあるし……ごめんね」
オムライスに手をつけず立ち上がった真衣香は、財布からお札を取り出しテーブルに置いた。
「呼び出したのに、先に帰るけどごめんね。優里、ご飯ゆっくり食べて帰って」
「ま、真衣香、ほんとに、ごめ……」
「……坪井くんも、もし芹那ちゃんのことで優里と話したいこととかあるならこのまま残ってくれてて大丈夫だよ」
二人のことを見ないで……いや、見れないで、一方的に話し続けている。
(どうしよう、どうしよう、正解がわからない……)
一晩経って冷静になれたようで、装っていただけのようだったみたいだ。
真衣香は逃げるようにその場を離れた。