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……えっ、うっそ何アレ!


目の前で婚約者の妹が超イケメン社長に手を引かれて会場の外に連れ出されて行く。


まるで姫を攫っていく勇者のようだ。


姫、もとい婚約者の妹・詩織さんも抵抗することなく大人しくそれに従っている。


……あのイケメン社長の秘書だって言ってたけど、もしかして2人は秘密でそういう関係だとか?


そんな想像が駆け巡る。


思わずニヤニヤしてしまうのは仕方ないことだろう。


秘密で付き合ってたなんていうのは、身近にそういう前例がいて驚かされた経験がある。


だから私にとってはあり得ることなのだ。



「響子、興奮したような顔してどうしたの?」


そんなことを考えていたら、ちょうどその前例が私に声を掛けてきた。


関係者パスのストラップと一眼レフを首から下げた私の同期。


大塚フードウェイの広報部の社員であり、我が社の亮祐常務の妻である並木百合《なみきゆり》(本名:大塚百合)だ。


百合こそその前例。


何を隠そう、入籍日前日まで亮祐常務と付き合ってることを秘密にしていたのだから。


こういうこともある。


だからあのイケメン社長と詩織さんがひっそり付き合っていたとしても私は驚かない。



「実はね、彼の妹に偶然会ったの!」


「えっ、悠さんの妹?この前初めて紹介してもらったって言ってた?」


「そうそう!アパレル勤務だって聞いてたんだけど転職したらしくて、今はActionで社長秘書やってるんだって!あ、蒼太くんのことも同僚だから知ってたよ」


「なんか世間って狭いね」


「ホントだよね~。でね、私が興奮してたのはその彼の妹がどうやらActionのイケメン社長といい感じっぽいの!百合みたいに実は秘密で付き合ってますみたいな感じかも!」


「響子ってば、目が爛々と輝いてるよ」



そんな私を見て百合がおかしそうに微笑む。


あいかわらず我が同期は女神のように美しい。


結婚してからその美貌にますます磨きがかかっている。



「その妹さんとは連絡先交換できたの?仲良くなりたいって言ってたよね?」


「そう、それなのよ~!この前会った時に続き、また聞きそびれちゃった。歳も近いし、これから義理の妹になるんだから仲良くしたいんだよねぇ。悠くんも妹のことすっごく気にかけてるみたいだから」


「そういえば、一時期はシスコンかもって悩んでたよね?」


「うん、まぁね。でも悠くんが妹を気にかける理由を聞いてからは納得というか。もともと優しいところが好きだったんだけど、ますます好きになったくらいだし!」



付き合って4年になる悠くんはともかく優しい人だ。


インテリアの会社でインテリアデザイナーとして活躍している悠くんとの出会いは合コンだった。


優しい性格が滲み出たような雰囲気の整った顔をした人だった。


物腰もソフトで穏やかで。


聞き上手な悠くん相手に私はペラペラ話していた記憶がある。


最初の席が隣だった私たちは、結局合コン中ずっと隣で話していた。


おしゃべりな私と、聞き上手な悠くんは相性が良く、出会ってからまもなくして付き合うことになった。


悠くんに妹がいることは知っていた。


よく話に出てくるからだ。


でも全然会わしてはくれなかった。


それもあって悠くんはシスコンだと不満を募らせた時期もあった。


ストレートにそれを伝えたら、少し困った顔をして「シスコンというか、ただ気にかけてるだけ」だと言う。


なぜかと聞けば、妹さんに友達がいないからというのが理由だった。


妹さんは昔から同性と折り合いが悪いらしく、なかなか友達ができないそうだ。


大人になった今はもう本人も割り切っているらしいが、学生の頃はよく泣いていたそうだ。


それを悠くんがいつも励ましていたのだという。


心を開いているのが兄である自分くらいということもあって気にかけてると話してくれた。


それでもシスコンはシスコンな気はするものの、悠くんが妹さんを大事にする根本の理由とその優しさに心を打たれた。


会わせてくれないのも、同性と折り合いが悪いからだと言われれば納得できた。



そして結婚するとなって初めてその妹さんを私に紹介してくれたわけだけど、一目見て、詩織さんが同性と折り合いが悪いという理由が分かった気がした。



端的に言えば可愛いからだ。


顔が可愛いだけでなく、柔らかそうな体つきが男好みな感じで、どことなくエロい。


これは同性が敵視しがちだろう。


自分の彼氏の近くにいたら取られそうで嫌かもしれない。


大人しそうで控えめな感じも、人によってはイライラするのかもなぁとも思う。



幸いにも彼女は私の彼の妹だ。


私と敵対することはないし、むしろ親族になるのだから仲良くなりたいと思った。


悠くんによると性格は素直で良い子だという。


私が詩織さんと仲良くなれば、きっと悠くんも安心するだろうし一石二鳥だ。


「やっぱり義理の姉妹になるなら仲良くなりたいよね~!」


「仲良い方が楽しいよね。私は亮祐さんに姉妹がいないからそういう相手がいないんだけど、ほら、自分の弟の彼女とは仲良くしてるしね」


「蒼太くんの彼女って|由美《ゆみ》ちゃんだよね?あの子の場合、仲良くっていうか、百合を崇めてるでしょ」


蒼太くんの彼女は、百合と同じ部署の後輩だ。


由美ちゃんはちょっと変わった子で、いっつも百合のことを「我が女神、目の保養と心の栄養~!」と奉ってるのだ。


そんな由美ちゃんと百合は仲が良く、それに蒼太くんも加わり、3人でご飯に行ったりしてるという。


蒼太くんと由美ちゃんが結婚したら、由美ちゃんは百合の義理の妹になるわけで、そんな仲の良さを見ていると楽しそうだし羨ましい。


「やっぱり詩織さんと仲良くなれるよう頑張ろっと!カフェ好きだっていうから、まずは2人でカフェにお茶しに行きたいな~!」


「じゃあその視察として、今度一緒に会社の近くにできたカフェ行ってみる?」


「いいねー!行く行くっ!」



私と百合は笑顔で約束を交わし、そろそろ会話も終わりにして各々レセプションで割り振られた仕事に戻る。



……とりあえず今日仕事が終わったら、悠くんに詩織さんと会ったことを報告しなきゃね!あの姫と勇者な姿も教えちゃう?それは心配させるかな?



私はさっきの詩織さんとイケメン社長の後ろ姿を思い出しながら悠くんに何を話そうかな~と考えるのだった。

涙溢れて、恋開く。

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