俺は迷いなく窓へと駆けた。
背後では香がゆっくり歩み寄る。
『そんなに俺から離れたい的な?』
その声が闇の中で絡みつくように響く。
俺は震える手で窓枠にしがみつき
躊躇なく外に飛び出した。
冷たい夜風が全身を包み込む。
足元の地面へと転がり込み痛みに耐えながら
すぐに立ち上がる。
「逃げるしかないんだぜ…」
脳裏に浮かぶのはただ1つ。
この狂気から抜け出すこと。
病院の裏道を駆け抜け
街の灯りへと向かうか。
『遅い的な。ヨンス』
どこからか香の声が聞こえた。
俺は息を詰める。
逃げても逃げても傍に香がいる。
「なん…で…」
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