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指についたソースをなめとるの素敵ですね‼
僕は暇だった。本当に暇だった。いつもは多忙極まりない僕だが、今日に限っては暇だった。とはいえ呪霊とご対面したいわけでもなく。まあそりゃ当たり前だよね。
そして僕の片思い相手―禪院真希―は棘、パンダ、憂太との合同任務でいないし、いつ終わるかもわからない。迎えに行って帰りにデートでもしてこれたらいいのに。
暇つぶしついでに
『任務終わりそう?』
と真希、棘、パンダ、憂太と僕のグループラインに打ち込む。驚いたことに数分もすれば既読が付き、パンダから返事が来た。
『終わったから飯食って帰る』
淡白な返事だな。もうちょっとこう、ねえ・・・?優しさがないと。
棘と憂太とパンダとは個人ラインでつながっているけれど、真希は
「普通にきもい」
とかなんとか言われて結局まだ交換していない。帰ってきたら交換しようかな。
ん?ご飯食べて帰るって、真希も?僕も食べたい。時計を見れば午後1時だ。気にしたら途端に腹が鳴った。
『待って。僕も行くから』
既読が付き、今度は真希から返信が来た。
『いいけど悟がおごれよ』
『もちろん!』
真希の頼みならもちろん了承する。
『店どこ?』
画像が送られてきて、そこなら空間圧縮でどうにか行けるだろう。
「やっほー!お疲れサマンサ!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「あ、あははー・・・」
憂太以外完全無視。心が折れるよ。
「ツナツナ」
棘のさした店は、洋食店。
しかしまあさすがは育ち盛りの子供たちというべきか、一気に平らげていく。パンダは育ち盛りというのかどうかはあいまいだが・・・。
「あ、ねえ、そのピザ食べていい?」
「ん、ああ、これか?別にいいけど」
ピザの皿を僕の前に差し出してくれる真希。だけど僕が食べたいのは
「んぅ・・・」
真希の食べかけのピザだ。ついでに指についたソースをなめとって、真希に舌を向ける。
蒸気が出るほどに紅く染まった真希の顔を見るのは何度目だろうか。これがまた癖になるのだ。
「わぁー・・・こいつ生徒に手出したよ」
「おかかぁ」
「わ、わぁぁ」
あ、この3人いるの忘れてた・・・。
食後、伊地知から連絡がありこれから緊急任務だそう。仕方なく任務を片付けて、さっさと高専の教員寮に戻って報告書を仕上げた。
学長に提出して部屋に戻ったら、部屋の中に真希がいた。
「え?真希?どうかした?」
真希の顔は赤い。
「悟・・・!」
「あ、はい」
説教が始まりそうだと思い、正座をする僕。絵面やばいな、これ。
「まじで!あーいうのやめろよ!」
「あーいうのって?」
「っ・・だから、今日の・・・昼の・・あれ」
あー・・・。あれね。うん。
顔を赤くしている真希があまりにも可愛くて、ついいじめたくなってしまう。
「んー、もうちょっと具体的に」
「じゃ、じゃあいい!部屋戻る!」
「ちょっと、それはひどいでしょ」
ぐいっと真希の手首をつかんで引き戻す。真希は諦めたように、でも顔は赤くして座った。
「・・・か、間接、キス・・・とか、そういうのじゃねぇけど・・・」
「うんうん」
「その・・・初めて、だったし・・・」
声がだんだん小さくなっていく。
「きゅ、急に、やるの・・・やめろ」
「急じゃなければいい?」
真っ赤な顔をさらに赤くした真希は、横を向いてはいるが小さくうなずいてくれた。
「可愛い」
ついに真希はこの空気感に耐えられなくなったのか、絶対追いかけてくんな!と言って雑に出て行った。
暇つぶし、なんて適当に理由をつけてラインをした僕は正解だったようだ。
stay tuned.