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「ねぇ、雲雀って僕のこと好きかなぁ?」
「そりゃあ、どっからどう見ても好きなんじゃないの?」
「それは恋愛的に?それとも友情的に?」
「そんなの本人に聞きなさいよ。」
「聞けないからアキラに聞いてんじゃーん!」
そう言ってソファーに項垂れる金髪頭が1人。
こいつは風楽奏斗。
絶賛片想い拗らせ中。
最近は私、四季凪アキラの事務所に入り浸っている。
「…ったく、そんな毎日のように聞かれたって答えは同じですよ?」
「本人に聞かないとわかりません。」
「アキラはいいよなー。」
「セラフと付き合えて。」
そんなジト目でこちらを見られても困るが。
奏斗が言うように私には告白されてお付き合いをしている人がいる。
かれこれ付き合って半年が経った。
「奏斗も告白すればいいじゃない。」
「できたらとっくにしてるっつうの~!」
今度はジタバタ暴れ出した。
ほんと忙しないやつ。
「はいはい、わかったから。」
「いつまでも事務所のソファーに居座るのやめてくれません?」
「えぇ~。」
「アキラ冷たいぃぃ。」
はぁ…冷たくなかろう。
奏斗、お前ここに何時間居ると思ってんだ。
お前がここに来てから5時間は経ってる。
そこからずっと雲雀どうのこうのって…。
「凪ちゃんただいま~。」
声が聞こえる方を見るとピンクのブロンズ頭の男が1人。
彼はセラフダズルガーデン。
私の恋人。
どうらやら任務から帰ってきたようだ。
「お帰りなさい、セラフ。」
「あれ、奏斗今日も居たんだ笑」
そう、奏斗はセラフが今日”も”と言うくらいには頻繁にいるのだ。
「ちょっと、ちょっと!セラフ酷くなぁい?笑」
「どうせまた雲雀のこと話に来たんでしょ。」
「ザッツライト~!」
先程から数回名前が出てるこの雲雀ってやつが奏斗の想い人。
近くで奏斗の経営するカフェで働いてる。
「ほんと懲りないねぇ笑」
「そんなに好きなら告っちゃえばいいのに。」
「セラフまでアキラと同じこと言う~。」
「それができたらもうとっくにしてんのよ。」
「そんなウジウジしてたってしょうがないじゃん。」
「当たって砕けろだよ、奏斗。」
「なんで砕ける前提なんだよぉ!笑」
「僕はセラフと違って度胸無いんですぅ~!」
「だから、ビビリーダーなんて言われるんだよ。」
「セラフ辛辣~泣」
「まぁまぁ。」
「セラおも帰ってきたことですし、今日はもう事務所閉めますよ。」
「そろそろ雲雀も終わる頃じゃない?」
「奏斗、迎え行かなくていいの?」
「行く!行きます!」
バッ!と勢いよく立ち上がる奏斗。
ほんと雲雀の事となると聞き分けがいいんだから。
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「じゃあ、俺らは先に家帰ってるから。」
「うん、雲雀と合流したら僕らもすぐ帰る。」
事務所を入り口で別れを告げ奏斗の背中を2人で見送る。
「…早くくっついちゃえばいいのにね。」
遠くなっていく奏斗の後ろ姿を見ながらセラおが呟く。
「まぁ、そんな簡単に上手くいくならここまで拗れてないでしょう。」
「どう考えても端から見たら両想いなのにね。」
「見てるこっちが焦れったい。」
「私は嫌いじゃないよ笑」
「甘酸っぱくていいじゃない。」
正直、毎日奏斗話を聞いて相手をするのはダルくなってきたけど。
「そうねぇ~。」
頬をぽりぽりしながら答えるセラおは腑に落ちないようだ。
さっさと告っちゃえばいいのにって思いっきり顔に書いてある。
男同士ってのもあるし、なんやかんや学生時代から長い付き合いになってしまったのもあって、お互い1歩が踏み出せないのだろう。
「とりあえず、家に帰ろうか。」
「夕食の準備をして2人を待ってよう。」
事務所の鍵を閉めて、4人のシェアハウスに帰路を進める。