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3 - 第2話

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2025年11月22日

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「よっす~!」


「お!奏斗~!」


僕を見つけてニコニコやってくるこいつは僕が絶賛片想い中の渡会雲雀。


「雲雀ぃ!迎えにきたよ~。」


「サンキュー。今ちょうど片付け終わったとこ。」


「今日の売上はどうよ?」


「最近常連さんが増えてきて絶好調よ!」


「さすが雲雀。やるじゃん。」


「だろ?俺に任せとって。」


得意気にピースをこちらに向けてくる。


「アキラとセラフが先帰ってるって。」


「なに?またアキラんとこ行ってたん?」


「まぁね~。」


「最近よく行ってんね。」

「うちより行ってるくね?」


エプロンを外しながらなにやらちょっと不満そうだ。


「そーかなぁ?」


「毎回迎えには来てくれっけど、店に滞在はしてないじゃん。」


荷物を纏めながらこっちに近づいてくる。


「確かにそれはそうかも。」


実際アキラの所に行ってる方が多いのは事実。

でも、それには色々訳があって。

まぁ、それを雲雀には言えないんだけど。


「なに~?雲雀もしかして僕が来なくて寂しいの?」


「そりゃあ…ねぇ…?」


ちょっと恥ずかしそうに下を向く雲雀の可愛さにキュンとする胸を押さえながら平然を装う僕。


「えぇ~可愛いとこあんじゃん笑」


「だって最近ゲーム誘っても断られるし。」


そんなムスッとした顔でこっちを見ないでくれ。

今にも好きのたった2文字が口をついて出てしまいそうになる。


だかしかし、長年伝えられずにいる想いを意図も簡単に口には出来ない。


この関係が壊れてしまうのが怖いから。


僕が雲雀を好きになったのは高校1年生の時。


クラスの委員長になって黒板の前に立った時に見た1番後ろの席で窓を眺めている雲雀の横顔が綺麗だった。


第一印象がそれだった。


その後、クラスメイトとして過ごしていく中で気が合う友達として一緒に行動することが増えた。


雲雀はそんなに頭は良くないけれど、真面目で、優しくて、面白くて、クラスのムードメーカーみたいな存在だった。


そんな性格もあって担任の先生を初め、学年、いや…学校中どの先生たちにも好かれてた。


もちろん女子からも好かれないはずはなく。

高校生活で何人から告白されていたことか。


でも雲雀はその度に困ったような顔をしていた。

そして誰とも付き合うことはなかった。


女性に興味が無いわけではないと思う。

何かの流れで軽く好みのタイプの話をしたことがあるから。


いつの間にか当たり前に隣にいて、毎日一緒に日々を過ごしていく様になって、いつの間にか僕は雲雀を好きになっていた。


この好きが恋だと気付いたのはだいぶ後だったけれど。


そこからかれこれ6年間の片想いをしている。


最近はセラフやアキラには早く告白しろと急かされることが多くなった。


それはまぁなんとも、当たって砕けろだの、他の人に取られちゃったらどうするだの、自分達が付き合ったことをいいことに好き勝手言ってくれる。


…わかってるよ。


雲雀に嫌われてるとは思ってない。

むしろ好いてくれているはず。

…でも、それが恋愛対象としての好きかと言われるとわからない。


もし告白して、今の関係が壊れたら?

俺に向ける笑顔に曇りが生まれたら?

もし僕の前から姿を消してしまったら?


…そんなの僕には耐えられない。


だったら今のままでいい。

相棒の風楽奏斗として隣にいれたらそれでいい。

僕の恋心は仕舞っておこう。

そう6年前から心に決めた。

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