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コメント
1件
わあ…第13話、読み終わりました。 夕焼けの海、無人駅、そして楓速くんの涙。全部が切なくて美しかったです。 「二人で一つ」っていうおまじないの言葉、愁翔くんにとってどれだけ救いになったんだろうって思うと胸が熱くなりました。 ずっと我慢してた分、やっと掴んだ小さな幸せ。アパートの冷たい床でも、手を繋いでいれば暖かいっていう描写がとても好きです。 優しい涙が出るお話でした…ありがとうございます。
お久しぶりです。
_________
13話 海とおまじない
肩を揺らされ、目が覚める。
そこには楓速がいて、優しい声でこういう。
f「おはよう、もう降りるよ。」
s「うん…」
そう言って電車から降りると無人駅だった。
外は夕焼けに染まっていて、綺麗な風景だった。
そのまま、手をまた握られ、楓速の思うがままに連れられる。
どんどん、潮の匂いと波の音がする。
s「ふ、楓速…ここって。」
f「ほら、愁翔見て。」
そして見えたのは、人気のない海で夕焼けのオレンジ色に染まる海だった。初めてこんなにも美しいのを見て、この風景に見とれていた。
なぜ、ここにこさせたのかが聞きたくて、隣を見ると、楓速は泣いていた。
s「ふ、楓速?どうして泣いているの。」
f「…ごめんな、愁翔…愁翔」
s「どうしたの、」
f「俺、愁翔が辛いの知っているのに、助けられなくて。」
s「そんなことないよ、楓速…、」
辛かった、苦しかった。助けて欲しかった。それは思っていた。でもそのせいで双子の兄を傷つけるのは嫌だった。
f「ねぇ、愁翔」
s「ん?」
f「一緒に、住もう。」
s「え?」
f「一緒に親から逃げよう。」
泣きながら、懇願された。
s「うん。」
すんなりと声が出た。
s「逃げよう。」
f「もう、住むところはとってるから、そこに行こう。」
s「…計画してたの」
f「うん、ずっと」
s「そっか。」
また、手を繋いで、楓速の言う住む場所に行った。
そこは煤けたアパートで部屋はワンルームだった。
床は冷たく、火も電気もまだ通ってない状態だった。
f「明日には電気や火が通るよ。」
s「そうなんだ。」
f「今日は床に布団ひいて寝よう。」
床に布団をひいただけじゃ、硬かった。
寒かった。でも楓速が手を握っていてくれた。だから少し暖まった気がする。
f「寒いな。」
s「でも、楓速といるから暖かいよ。」
f「…それはそうかも。愁翔といるから暖かい。」
s「…楓速、ありがとうね」
f「どういたしまして。これからも一緒に居よう。」
s「うん。」
f「…二人で一つだよ。」
s「二人で一つ?」
f「うん。」
s「いいな、それ。」
f「だって、双子じゃん。」
s「うん。似てないけどね。」
f「似てなくても、双子なんだよ。」
s「そうだよね。うれしいな。」
f「明日から、もう身体売らなくていい。午前中は学校行って、午後は家でゆっくり遊ぼう。」
s「うん。」
f「お金は、俺が安全なバイトして稼げばいい。」
s「俺も働くよ。」
f「いいよ、俺だけで」
s「すぐ忘れた。二人で一つでしょ?」
f「そっか、…ありがとう」
s「どういたしまして。」
二人で一つ。
これが俺のおまじないの言葉。だいすきな言葉。
安心して、手を握られたまま、眠りに落ちた。
その次の日から、身体を売る必要はなくなって
午前中は学校に行って、午後はバイトや遊びに使えた。
寝る時は二人で一緒に寝るようになった。
少し疲れるけど、あの頃の生活よりかは断然幸せだった。
そして、慣れてきた頃、夢を追うようになった。
_________
はい。
さよパニ。