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#完全自己満足作品
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真っ青な空、暖かく心地の良い潮風が頬を撫でる。
ここは先程まで学校の一室だったはずだ、それかパタパタとこどものおもちゃのように簡単に倒れ、辺り一面に白い砂と美しい海が現れる
世界の希望と呼ばれる我々超高校級の異名を与えられた私たち、みな辺りを見渡し困惑の声を上げている
かく言う私も超高校級の歯科医というジョブを与えられた人間だった
私は昔から顔なじみだった田中の横に立ち、泡のように浮かんで消える細かな不安を胸に仏頂面を決め込んでいた
そんなこも知らずウサミと名乗るぬいぐるみが楽しそうに笑う
「小鹿、大丈夫か」
田中が小声で私に話しかける、周囲は未だに緊張が溶けず張り詰めた空気が南国の風を冷たくする
「平気」
短くそう返しウサミを見る、ほかの生徒たちに質問攻めにされながらもいちいちそれに答えているそして目的を聞かれた時ウサミはまた口を開いた
「ミナサンは、この島でほのぼの〜と暮らしながら、仲良く絆を深めていってくだちゃい!」
「それがドッキドキ修学旅行のルールなのでちゅ!」
入学式も何もかもがすっ飛ばされた修学旅行、それが私達に対する課題なのだという
『適応』それが生物が長く生きるための術だ、課せられた課題をクリアすれば元の生活に戻れるのだろうか、とにかくこの島でどうやって生きていくかそれが問題だ
早速男子が1人倒れ込んでしまったらしく彼を介抱しながら軽く皆と自己紹介をする
「私は与田小鹿……超高校級の歯科医…多少の医学知識はあるから……何か問題が起きたら言って」
超高校級の保健委員がいるのだから私に頼ることはほぼないだろうが一応でも医療従事者であると自己紹介をした
その後皆で島の探索を始める事にした、狛枝は倒れた彼のそばにいるらしいため任せておくことにした。
皆が散る中私は田中へ近寄る
「一緒にいい?」
「あぁ、共に行こう」
ジリジリと肌を焼く日光に思わず眉をひそめてしまう
そうしていると田中が私が影に入るように歩く場所を変えてくれる、本当に優しい所は変わらない、それだけで少し安心ができた
『希望のカケラ』
ウサミから集めろと言われたもの、みんなから集まった一欠片電子生徒手帳をぴこぴこと弄り確認しながら道を歩く、電子ペット付きらしいから暇な時に構ってやるとしよう
「ここを調べるか」
「空港……?」
「フフフ…!!闇の気配が俺様を呼んでいる!!」
「それなら見てみようか」
いつものノリに合わせて中を覗く、空港内に入るとヒヤリとした風が熱くなった頬を撫でる、空調が効いているらしく過ごしやすい
「ベルトコンベア動いてるね」
流れては戻ってくる荷物に目を向けていると
「おーすっ」
「あぁ、左右田くん」
「飛行機とか諸々見てきたんだけどよ全部エンジンが抜かれててハリボテ状態だったぜ……これじゃ脱出は無理だな」
「今は使わないで……何か試験とかあるのかな、ほら急にエンジンだけ渡されて直せるかどうか能力を確かめる……みたいな」
「そんなことあるのかねぇ、修学旅行だぜ?」
「でも希望ヶ峰学園主催なのは変わらないし……」
軽く雑談を混ぜながら解散してまた空港の探索を続けていると
「なっ、なぁ」
先程倒れていた彼が顔を出す、相変わらず顔色は悪いが起き上がれたようで何よりだ
「なぁに」
「まだ挨拶できてなかったよな、俺は日向創…よろしくな」
「私は与田小鹿、よろしく日向くん」
手袋をしたままの手で握手をし軽く顔を見やる
「与田小鹿さんは超高校級の歯科医って呼ばれててどんなに状態の悪い歯でも健康な歯に治療できちゃうらしいよ、彼女の制作した完璧な入れ歯は色んな業界の人たちから注目されてるみたいだね」
「入れ歯?」
「肉食動物、草食動物、魚の歯も全部調べて作った完璧な入れ歯……なんでも噛めてなんでもすり潰せて健康が保てる…そんな歯の究極の組み合わせを考えて作ったヤツ……まぁまだUMAとかは試してないから現段階で…だけど……」
ついしゃべりすぎてしまった、ハッと顔を上げ日向を見る
「ごめん、長く喋って」
「いや面白かったよ、また今度聞かせてくれ」
本心かおべっかか、どちらか分からないけれど上手く話をまとめてくれて助かった
「えぇ、また」
手をひらりと振って立ち去る日向と狛枝を見送る
「息災か?」
「大丈夫、なんだか普通な人だったから気は抜けちゃったかな」
普通の人、私が憧れる、最上の個性
母親に言われたことが頭の中でフラッシュバックして背筋が伸びる
『キンコンカンコーン』
モニターが点灯し顔をそちらに向ける
『ミナサン、おめでとうございまーちゅ!!どうやら最初の希望のカケラを全員集め終わったみたいでちゅ!
うるうる…あちし嬉しいなぁ……という訳でそんな皆さんを更にハッピーにするプレゼントを用意しまちた!
お手数でちゅけど、最初の砂浜に集まってくだちゃい
ぷすーくすくす!輝かしい希望はミナサンと共にね!』
ブツン、と画面が切れてまた静寂が訪れる
「行くか」
先に歩き出す田中に合わせて最初の砂浜へと歩き出す、ジリジリと熱さを感じて眉間に皺が寄る
「暑いね……凄く暑い…」
「あぁ、やはり南国な島なだけある」
砂浜へ到着するともう既に数人が到着していたようで何となく自分たちも彼らの元へ集まる
最後に日向と狛枝が来るとウサミが来るまで各々島の感想を発表することになった
「中央の島に、封鎖されている橋がいくつかあったな私はそれが気になったぞ…」
「あれは、みんなが迷子にならないためらしいっす!唯吹が無理矢理渡ろうとしたらあのウサギがそう言ってたんでマジっすよ!」
「迷子にならないため…?そんなに広いのかこの島は?」
「でも、総合的に見るとふつーにいい島じゃね?なんかリゾート地って感じでさ!」
「あとねー、おっきい牧場があったよねー!」
「あのぅ…広いスーパーもありましたよ…食べ物とか生活必需品が一通り揃っていた印象ですぅ」
「ホテルも凄い立派だったよね。あそこに泊まれるならかなり助かるんだけど…」
「そのホテルにあるレストランも、実に庶民的でよかったですわよ」
「ねぇ、ぼくの話も聞いてもらっていい?
ぼくはね…この島で大事なものを見つけたんだ……とってもカワイイ女の子達だよ!あはっ!そっちにもこっちにもいるね!」
「ぎゃー!キモイっすー!チキン肌がばるばるばるばる……」
「どいつもこいつも能天気なもんだ…誰もあの重大な事実に言及しないとはな」
「…重大な事実?」
「本当に誰も気付いていないのだとしたら大した間抜け共が揃ったもんだ」
「んだこら?エラソーな口きいてんじゃねぇぞ!」
「…吼えるな愚民め」
重大な事実、その単語に覚えがなくキョロキョロと辺りを見回すが誰も気付いていない様子だ
「お前達は…橋を渡った先にある、島の公園には行ったのか?あれを見た時以前どこかで聞いたある話を思い出した
太平洋に浮かぶ小さい島で、風光明媚な常夏の楽園と呼ぶに相応しい島がある
中央の小さな島を中心として、5つの島から構成されるその島々は同じく神聖な5体の動物を島の象徴としているらしい
その島の名前は……ジャバウォック島だ」
「じゃあもしかして僕たちがいるこの島ってジャバウォック島……?」
「それが俺たちのいるこの島の名前なのか?」
「だとしても少し気に掛かる事がある…確か、俺の聞いた話ではジャバウォック島はすでに……」
そう十神が意味深なことを言いかけたその後
みんなは割とこの島に対して好印象な様子で皆口々にバカンスを楽しもうと言った雰囲気が感じられる
彼らのお陰で最初にあった不安は少しだけ軽くなる
逃げ道はないのだから適応して楽しもうということでもあるのだけれど日向はどうにも違うらしく早く島を出て希望ヶ峰学園に帰りたいようだった
「じゃあ木を切ってイカダでも作って……!」
泳いで逃げるのが不可能だと話した途端この有様で若干呆れてしまう、そもそも学校が好きではない私にとっては彼の行動は理解し難かった
「それはダメでちゅ!断固としてダメでちゅよ!」
聞き覚えのある声が砂浜に響く、どこから湧いて出たのかウサミがそのにちょこんと立っていた
「ほら、修学旅行のしおりを思いだちてくだちゃいよ!」
「…ポイ捨てや自然破壊の禁止……そんな項目があったよね」
私がそう言うとウサミは嬉しそうにぴょんと跳ねた
「与田さんはしっかり読み込んでて大変素晴らしいでちゅ!その通り!ミナサンにはこの美しい島と共存しつつ平和に仲良く暮らしていって欲しいんでちゅ」
「な、何がルール違反だ……そんなの関係あるか…!」
「やめておけ、そのウサギはルールとやらにはやたらとこだわっているようだ……万が一お前の行動がきっかけで全員に危険が及んだらどうするつもりだ?」
「さっさすがに危険は言い過ぎでちゅ!あちしはそんな事しないでちゅ!」
「日向くん気持ちはわかるけどさ、いったん落ち着こうよ、ね」
「と、とりあえずおかしな行動を取らない限りは危険はないみたいですし…」
「それに希望のカケラさえ育ててればすぐにこの島から出られるようになるんだよ?」
「し、信じるのか?そんな話を……?」
「信じるしかないという話だ……少なくとも今はな」
「………」
「ねーところでウサミちゃんさっき放送で言ってたプレゼントってなんなんすか!?」
「あっそうだった!」
ウサミはもたもたと綿で詰まった腕を絡ませながら何かを取り出す
「らーぶらーぶ!これでちゅよ!」
手渡されたそれは小さめのマスコットキーホルダーだった、ウサミ本人がデザインされているものだが
「かわいいでしょ!」
「…くだらんな」
「期待して損した!」
「むしろ期待した自分を恥じちゃうよ!」
こどもたちが喜びそうだ、皆はその場にポイ捨てしているが自分の分だけは回収しておこう
ひとりでほくほくしていると田中からそっと手渡されるので本当に良いのかと目で尋ねる、すると目を伏せて下を向いたため了承とみなしありがたくいただくことにする
「うう…せっかくもう1つプレゼントを用意したのにそんなに悪い子だとあげたくなくなっちゃいまちゅ…」
「…ん?まだなにかあるのか?」
「ストラップに比べらた大したものじゃないんでちゅけど
あの、動機を用意したんでちゅ、皆さんが仲良くなるための動機でちゅ、せっかく南の島に来たんだから1個くらいはあってもいいかなって」
「なんだ?お楽しみパーティーでもやんのか?」
「ピンポン!」
そういうとみんな口々に自分の欲望を投げ始める、キャンプファイヤーから始まりツチノコ探しまで幅が広い
「ミナサン、様々なご要望があるみたいでちゅけど海と言ったらまずは…ほーら!やっぱりこれでちゅよね!」
投げられたスイミングバックに目を向ける
「はい!みなさんの水着を用意させていただきまちた!とりあえずのスクール水着だけどね?」
「いやっほううう!!」
何か言いかけていた日向を無視し澪田さんが飛び出す、左右田も続き水着を回収していく
「泳ぐ?」
「いや、俺様は……」
「そっか、水と相性悪いもんね……でもさ、着替えて砂遊びしない?破壊神暗黒四天王のお城作ろ?」
「フハハハハ!!名案だ小鹿よ……ではいくぞ!」
私たちもスクール水着を手に取りホテルへ向かう
いそいそと服を脱ぎ慣れたスクール水着に着替える
ピチリと肌に吸い付くような布感は慣れない
肩紐のねじれをくるくると巻き直し外へ出ると田中が水着にマフラーという妙ちくりんな格好でそこにいた
「もうやってる?」
「あぁ、掘り始めている」
破壊神暗黒四天王たちは楽しそうに砂浜の砂を掘り返し遊んでいる
自分たちも山やトンネルを作りそこを通るマガGの頭を人差し指で優しく撫でる
平和、その言葉が似合いすぎる
人目も気にせずこんなに遊べるのは初めてだ、案外ここで修学旅行をするのも悪くないかもしれない
希望ヶ峰学園ってこんなに平和なんだ、もっとギスギスしてお互いに敵視し合うものかと
突然空の天気が悪くなる
黒い雲が浮かび先程までの暑い光は消えてしまう
「な、なんだこれ…?こんな曇り方いくら何でも不自然だろ…!」
「え…?あれ…?」
「おい、今度はなんだ何が起こってるんだよ?
お前何したんだ!おかしいだろ!さっきまであんなに晴れてたのに!」
「あわ、あわわわわ?なんでちゅか!これぇええ!」
声のする方へ向かうとウサミがひとり大袈裟に驚いていた
と、そのとき
「あーあー!マイクチェックマイクチェック!
あーあーあ!あー!聞こえますか?聞こえますか?」
場違いなほど明るくふざけた、悪意のある声がモニターから流れてくる
「うぷぷこいちゃった?びっくらこいちゃった?……ですよねー!さて、大変長らくお待たせいたしました。くだらない余興はこれくらいにして…
そろそろ真打の登場でございます!オマエラ……ジャバウォック公園にお集まりくださーい!」
「まさか今の声って……あちしが…あちしがなんとかしないと!」
「私たちも行った方がいいかも」
「私達も着替えてすぐに行くからね!」
泳いでいるみんなに声をかけて大急ぎでホテルに着替えにもどる
自分たちは泳いでいないためさっさと着替えを終わらせてジャバウォック公園へと走る
「やいやい!どこでちゅか!どこに隠れてるんでちゅか!」
「うぷぷぷ…あーハッハッハッ!
お待たせしました!そして、おひさしぶりでございます!僕はモノクマ!この学園の学園長なのです!」
「さてとっ颯爽と登場してまずは…ぬるいよぬるすぎだよ!ヌルヌルだよ!」
「でもどうちて!あんたが!モノクマがここに!?」
「うっるさーい!僕は怒ってるんだよ!オマエラのぬるいドキドキ修学旅行に!退屈だよ!絶望的に退屈すぎるんだって!
お陰で全然盛り上がってないじゃないか!茶番はいい加減にしろって!
もっとこう…世間のニーズに応えろよ、平和で穏やかな高校生たちの楽園生活なんて誰も望んじゃいないんだって!
みんなが見たいのは……他人の不幸…そして絶望だけなんだよ…」
「なんっなんだよこのヌイグルミ!言ってることが無茶苦茶だぞ……!」
九頭龍くんがワナワナと震えながらモノクマと呼ばれるヌイグルミを睨みつける
「一体どうなっているんだ?このヌイグルミははんなんだ?」
「ミナサン危険でちゅ!ここはあちしに任せてくだちゃい!どうしてモノクマがいるのか分からないけどこのマジカルステッキさえあれば……」
「やー!隙あり!」
「あちょー!あちょー!」
昭和チックな土煙を立てながら二体のヌイグルミは引っ張たり蹴ったりメタメタに喧嘩を始める
「きゃああああああ」
そう悲鳴が聞こえた時には
「じゃじゃーん!大勝利!!」
モノクマと呼ばれたヌイグルミがウサミの持っていた魔法少女チックな杖を真っ二つにへし折っていた
「あちしのマジカルステッキがっ!!」
泣きながら地面を見つめるモノミを見下すようにモノクマは言う
「さてと、完全勝利のそのあとは!そもそもお前は地味なんだよな!真っ白なうさぎなんて地味すぎるんだよな!という訳でボク好みに改造してやるよ!アーッハッハッ!」
そして再度昭和の土煙がたち、それがはれたところにツートーンに塗られたウサミがそこにいた
「あらあらお兄ちゃんのセンスに口答えとはモノミちゃんは不良さんなのかな?」
「へ……?お兄ちゃん?モノミ……?」
「オマエの立ち位置って今あやふやだから僕の妹のモノミって設定にしたの!後付けの設定だけどね!」
動くヌイグルミ同士の喧嘩に呆気にとられみんな呆然と立ち尽くしている
「この小芝居はなんなんだよ……!」
「しるかよ」
「でも……まずいことになってるのは確かみたいだね」
よくわからない、なにも分からないが事態があまりよろしくないのだけはわかる
皆ヌイグルミが動いているがどうの数が色がと話していると
「だから!ヌイグルミじゃなくてモノクマだってば!希望ヶ峰学園の学園長なの!」
「モノクマ…?」
「学園長じゃとぉ!?」
「これで全員揃ったみたいだね!ではさっそく学園長としてオマエラに宣言します!
今からコロシアイ修学旅行をはじめます!
仲良く暮らすことが目的の修学旅行なんて刺激もないし退屈だしつまんなーい!
もちろん参加者は君たちだよ!」
こちらを見る感情の無い目に寒気を感じ田中の手をそっと握る、すると力強く握り返され少しだけ、ほんのすこしだけ安心する
「な、何言ってるんでちゅか!そんな血なまぐさい展開は断固としてゆるしまちぇんよー!」
ウサミ?モノミ?はそう言った瞬間モノクマからするどい蹴りが入り吹き飛ばされる
「まったくモノミって頭の弱い子だね!いくら言ったらわかるのかな、あのね、お兄ちゃんより優れた妹なんて漫画でしかいないんだよ
さて…少し脱線しちゃったけどコロシアイ修学旅行の説明に戻りましょうか」
「うゆゆぅ……そのコロシアイってどういう意味なんですか?」
「意味もなんもないよ!コロシアイはコロシアイに決まってんじゃん!」
「何言ってんのさ!そんなのありえないでしょ!」
「だって島から出る条件が皆で仲良くなんてぬるぬるで退屈でしょ?だからルール変更!この島から出たいなら仲間の誰かを殺してくださーい!
そして学級裁判を逃げ延びてくださーい!!」
「…学級裁判?」
「そうだよ!学級裁判こそがこのコロシアイ修学旅行の醍醐味なのです!
オマエラの間で殺人が起きた場合!生き残ったメンバーは皆で仲良く学級裁判に参加してもらいます!
そして学級裁判では殺人を犯したクロとそれ以外のシロとの対決が行われます!
殺人が起きた場合オマエラには身内に潜んだクロを探し出しその後の投票でオマエラが導き出したクロが正解だった場合はクロだけがおしおきとなり残ったメンバーで修学旅行を続行します!
ただし間違った人物を選んだ場合!生き残ったクロのみが脱出し残されたシロのオマエラはおしおきになります!
以上!愛くるしいクマことモノクマからの学級裁判のルール説明でした!」
「つーかさっきから連呼してるおしおきってなんだよ…」
「あぁそれはね!噛み砕いて言うと処刑だね!ショケイ!学級裁判後の愉快なおしおきタイム!これもコロシアイ修学旅行のお楽しみのひとつだね!」
楽しそうにヨイヨイと踊り出すクマをただ呆然と眺めていた
「どうぞ人殺しを楽しんでください!それがこのコロシアイ修学旅行なのです!」
理解したくない言葉の数々に目眩をおこしそうになりながらもギリギリのところで踏ん張り田中の握ってくれた手のおかげでどうにか立っていられる
「ふざけてんじゃねーぞ…!」
「そうだ!誰が人殺しなんかするかって!」
「殺せとは言わないよ?やるかやらないかはオマエラが決めることだからね!だけど気をつけてね青春は短いんだからね!」
「さ、殺人が起きなかったらどうなるの?このまま私達は島から出られないってこと?」
「さぁ、どうでしょう!とにかくこれからは清く正しくコロシアイ修学旅行って方向で頼んます!」
「待ちなさいよなんで私たちが殺し合う必要があるのよ!」
「そんなの決まってるじゃん?オマエラにら殺し合うべき理由があるからだよ」
簡単に出したその言葉に思考がぐるぐると回る
共通点なんてひとつしかない、希望ヶ峰学園に選ばれた、ただそれだけ……それだけなのになんでこんなことになってるの…?
「待ったれや……さっきから好き放題言ってくれるじゃねーか…直接的な暴力は好きじゃねーんだが仕方ねーみたいだな!」
「なんだよ、バトルか?あの白黒のやつをぶっ叩きゃいいのか?」
「誰がコロシアイなどするか……力ずくでも止めさせて貰うぞ…!」
「ふざけたこと言ってるとこの体育会系軍団が承知しないっすよ!」
「あーそうですか…まぁこれもお約束ってやつですかね……?」
「そっちが力ずくならこっちも力ずくで返すしかないよね…いでよ、モノケモノー!」
ゴゴゴと深い地鳴りのような音がして公園にある像がひび割れていく、徐々に姿を表したそれはアニメで見るようなとんでもロボットだった
「なんで石像が動いたの…!?」
「石像じゃないよ!モノケモノだよー!」
突然の化け物の登場にただ呆然と立ち尽くすしかなかった
「こんなの…おかしいですよぉ……!」
「オレは悪い夢でも見てんのか?」
「きゃはは!ゆめだってさ!脳ミソお花畑だってさー!」
「まったくもう…夢だのうそだの疑り深いんだから…」
「ミナサン!下がってくだちゃーい!あ、あちしがミナサンを…この命に変えてもミナサンを守ってみせまちゅ!」
そう言いひとりモノケモノに向かっていくウサミの背中は頼りなくってなんだか不安でただ心配になるだけだった
「よーし決めたぞ!だったら見せしめはオマエだー!」
そうモノクマが口にすると鳥型のモノケモノが機関銃を取り出しモノミに向けて発射した
「こじか!」
腕を引かれ田中の胸元へと飛び込み肩を抱かれる、こんな状況なのに胸がドキドキしてしかたがなった、そもそもこのドキドキは恐怖から来ているものなのかは定かではないが
プシュー……と煙を吐いて残ったのはズタズタになったリボンだけだった、飛び散った綿は風に乗りすぐに足元をすり抜けていく
「うわぁあああああ!!」
「なんだよそれぇ!」
「あぶあぶあぶ……序盤なのにさっそくモノミが死んじゃった!!」
「それは魔人か…!?それとも未来兵器なのか……!?」
「恐るべき脅威の殺戮兵器!それがモノケモノなのだっ!」
ケタケタと大声で笑うモノクマに、みんな動けずにいた
「やっぱ見せしめはこうでないとね!」
「あのね、ボクに逆らえないんだよ慈悲も同情も哀れみもないよ!クマだからね!」
「それとコロシアイ修学旅行を始めるにあたって電子生徒手帳をアップデートしておいたからね!ルールを知らなかったなんて言い訳は通用しないからね!じゃあ!楽しんで!」
モノケモノを引き連れモノクマは消えた、みな疲れた様子で棒立ちになっている、自分だってそうだった。
みんな動けないでいた。
「ありえないことでは無い」
そう重く口を開いたのは十神くんだった
「モノケモノとやらは機械で動いているだけ、となればあのヌイグルミもそうなのだろう、そして機械である以上は誰かが作りそれを操っているということだ」
「その誰かの仕業か、私達が来んな訳の分からないことに巻き込まれたのも」
「ねぇ誰なの!それって誰なのよ!」
「あは…は…そんなの誰でもいいって……ボクは信じてないからね〜……」
「いくら混乱しようと取り乱そうと構わない、だがこれだけは肝に命じておけ…どこの誰かが俺たちを陥れようとしているのかは知らないが……今の俺たちが警戒すべきなのは非常識な機械でも操る人間でもない……警戒すべきなのはここにいる俺たち自身の方だ」
重い言葉、酷く重たい言葉だった
自然と互いを見合い十神くんの言葉を認めていた、あの妙なルールを信じてしまっていないか心配なのだ
強く服の端を握り悔しさに耐える
これが私たちのコロシアイ修学旅行の始まりだった