テラーノベル
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ぽち、ぽち……と指を滑らせながら電子生徒手帳に追記されたルールを黙読する
あのあと休息を取ろうとみんなとホテルへ向かった、田中とは流石に手を離し少し離れたところでホテルへの道を急いだ
自分のものだとあてられた部屋はリゾートホテルの一室のようでこんな状況じゃなければきっと楽しめただろう
シャワーを浴び、自分の部屋のベッドでごろりと寝返る
「みんな…大丈夫かな…」
自分のことも心配だがやはり周囲も心配だった、みんな変な気を起こしていないといいのだけれど。
ここが安心なのかは分からないけど、寝れるだけの環境が貰えるのはありがたい
電子生徒手帳を服のポケットに入れて布団を被るとやはり気疲れしていたようで泥のように眠ってしまった
そんな安眠を乱す音がひとつ
「キーン、コーン、カーン、コーン」
聞きなれたチャイムだった、聞きなれたはずのチャイムだった、気味の悪さを拭えぬままぼぅっとしているとブツッと音がし部屋に着いているモニターにモノクマが表示される
「えーと、希望ヶ峰学園実行委員会がお知らせします
オマエラグッモーニンッ!本日も絶好の南国日和ですよー!!」
生意気にもカクテルなんか飲みやがって……と思いつつ体をねじる
「レストランいこ……」
こんな状況でもお腹は減るもので恥ずかしながらぺこぺこである
扉を開けて降り注ぐ日差しに眉間に皺を寄せレストランへと向かう、階段をのぼり広い会場に出ると既に食事の匂いがしていた
「あれ?もう誰かいるの?」
「ふふふっ!僕だよこじかさんッ!!」
「てるてるくん……みんなのご飯作ってるの?」
「ちがうよ!ボクの料理はこんなに不味そうじゃないもん!」
「まぁ…食べ物は食べ物だし、一応並べておくよ」
料理をキッチンからレストランへ運び出す、そうしているとみんな徐々に集まりだし結果朝食会を開くことになった
「こじかちゃん、あたしたち十神に集められてきたんだ、ねぇあたしたちを集めた理由ってなんなの?」
先に来ていた私に真昼ちゃんがそう言う
「ダメだ…まだ左右田が来ていない」
むっすりとした顔の十神くんはそう言うと口を閉ざしてしまった
「話があるって聞いてきたんすよ!」
「話なんて決まってんだろ!あの化け物をぶっ倒す為の作戦会議だ!」
「た戦うなんて無理ですよぉ……だって重火器とか装備してたじゃないですかぁ…」
「気合いで何とかするんじゃぁあ!!!」
「いいセリフだが……1つだけ忠告しておこう…真の強者は無闇に大声を使わないものだ……」
「あーもう!左右田を連れてくればいいんでしょ!」
そう怒り出した小泉さんはぷんぷんとレストランから出ていってしまった
「では…全員集まるまでしばらく朝食の時間にするか…」
そう十神くんが言うとみんな思い思いの料理を手に取り食事をはじめた
私はミニサンドイッチを手に取り水で流し込む、朝食の際に取った方が良い栄養だけは取れたはずだからこれ以上の食事の必要はない
この料理はてるてるくんが用意したものではないらしいが特に舌に痺れを感じたりしないので毒は入ってないだろう。
「僕が作る世界一美味しい料理に比べたらみんなが食べてるその普通に美味しい料理なんてクソまずい部類に入っちゃうからね」
こえた舌というのもあるものか、私は栄養が取れて歯ですり潰し咀嚼出来れば味なんか二の次だ、歯が喜ぶ料理ばかり食べていたい、体が求めるものをあげていきたい嗜好品は二の次だ
楽しそうにてるてるくんの才能の話をみんなでしている、朝食を終えた私は話に混ざりたいなぁなんて思いながら突っ立ていると田中と目が合った、彼も同じ状況なのだろう
「はい、お待たせ!連れてきたよ!」
ズルズルと引きずられて来た左右田くんは可哀想に涙が見えるほどに怯えていた、そのとき
ドンガラガッシャーン!!!
「きゃぁああああ!はわっはわわわわ!こっこっ転んでしまいましたッ!!」
長い足が空を先代わりに頭が地面にどっかりついてしまった罪木ちゃんの姿がそこにあった
「そ、それって転んでるのか?」
「どうやって転んだらそんな体勢になるんだ!」
「いやうれしいけどさぁ!堪らなくうれしいけどさぁ!」
「ひゃーん!!恥ずかしいですぅ!助けてくださぁあい!」
その声を聞いて女子が前へと乗り出す
「とにかく助けてあげないと!」
足に絡まったロープを解きゆっくりと足を下ろす
「大丈夫?痕とかない?」
「ありがとうございます小鹿さん……痕とかは残ってないですぅ…!」
「それならよかった……」
よかったのだろうか……あんな恥ずかしい転び方をして、唯一よかったことが怪我がなかっただけなんて不運で仕方がない
「つ、罪木さん大丈夫だった?」
「うゆぅ、頭はガンガン痛みますけど大丈夫ですぅ…」
「でも、ドジっ子ってレベルじゃなかったよねほとんど手品みたいな転び方だったよ」
「それよりさ、これで全員揃ったんだよね?だったらそろそろ始めようよ」
「朝食は一時やめにして話し合いをするか」
十神くんはナプキンで口元を拭い捨て話し出した
「まずは、お前たちに質問だ……俺たちはあのモノクマによって殺し合いを命じられた訳だが…そんな異常な状況下を生き抜くにあたって今の俺たちに必要なものはなんだと思う?」
「チッ、知るかよいいからさっさと本題に入れや」
「本題に入って欲しくば答えることだ」
「そんなモンメシと寝ることだろ?」
「否ッ…便を忘れておるのぉ……」
「歯も!歯もみがいてね!」
「……もっとマシな答えはないのか」
呆れられてしまった、めんぼくない……としょぼしょぼ指先同士をつつきあう
「もしかしてそれって絆なんじゃないかな?
ボクは思うんだ超高校級のみんなが協力し合えれば不可能なんてないって…だからこの島から脱出するために必要なのは僕らがお互いに結束し合う事なんじゃないかな!」
「わー、真顔で言ってるよー!良く恥ずかしくないねー!」
「あっ、やっぱり臭かった?」
「だが、一理あるかもしれんな…だからこそモノクマは私達が信じ合わないようにお互いが疑心暗鬼になるようなルールを強いるのだろう」
「なるほどな、なかなか立派な答えだ
確かにこの状況に個人で立ち向かうのは不可能だ、ならば集団として戦う他ない…だが、その団結のために必要なのは絆などという甘っちょろい繋がりではない
今の俺達に必要なのは明確なリーダーにのる秩序を持った統率だ!」
「なるほどのぉ…団体競技でもキャプテンが必要不可欠だしのぉ…」
「喜べ、俺がその役を引き受けてやろう」
「という事で前置きは終わりにしてそろそろ本題に入るとするか……」
「待ちなさいよ」
「なんだ」
「ど、どうしたっていうかいくらなんでも強引すぎでしょ!勝手にリーダーなんてきめちゃって…しかもどうしてアンタなのよ!」
「俺以上の適任がいるか?おれは十神家の超高校級の御曹司だ。人の上に立つことを宿命付けられた人間だぞ?」
「だ、だから!あんたのそういう態度が強引なんだって!」
「小泉さんちょっと待って…たしかに十神くんは強引かもしれないけど状況が状況だし…多少強引なくらいがリーダーが務まると思うんだ」
「それは…そうかもしれないけど…ならソニアちゃんだって…」
「いいえ、とんでもありません、私なんてお飾りのようなものですから…」
「まぁこの状況でリーダーを買って出てくれただけで彼にはその素質があるとも言えるよね」
「みんながいいなら私もいいけどさ…」
「であれば決まりだな、安心しろこの俺がリーダーになった以上は1人の犠牲も出さん…約束してやるこの俺が…お前たちを導いてやるとな!」
「うっきゃー!頼もしいっす!」
たしかにめちゃくちゃ頼もしいな……こういうリーダー的素質は生まれ持ってして…みたいな所もあるしやはりそこも含めて超高校級なのかもしれない
「フン、俺から本題だ、お前たちに見せたいものがある」
「見せたいもの?」
日向くんがオウム返しでそう言う
「中央のジャバウォック公園だ、付いてこい」
そう言うと十神くんは後ろも振り返らずズンズンと進んでいってしまった、私たちはそれをせかせかと忙しなく追いかける
到着したジャバウォック公園、そこには昨日見た時にはなかった異様な物体が鎮座していた
「な……なんだこれ……!」
「時計…?いや違う!何かをカウントダウンしているみたいだぞ!」
「これって島に来た時はなかったよね?」
「今朝改めて島の捜索をしている際に見つけた……いつの間に設置されたのかは不明だ」
「あのモノクマが設置したような見た目だが…」
(いかにも危険ですよって見た目だな…)
黒い爆弾のような見た目のそれは初日に来た時にはなかったはずだ
「このカウントダウンは何を表しているのだ?」
「うーん……心当たりすらないっすねぇ」
「ンフフ、またわけのわからないものが出てきたみたいだね」
「もしや爆弾ではあるまいな」
「島を爆破するためならすぐにやるはずだわざわざカウントダウンをする意味はない」
「だったらなんのカウントダウンなんですかね…」
「謎でちゅね!」
「きゃあ!」
「きゃあ!」
「どうしてモノミがここにいるの!?」
「パトロールしてたら皆さんの声が聞こえたので寄ってみたんでちゅけど…」
ひょっこりとあらわれたそのモフモフは自分が生きていることなんて当然でしょ?と言わんばかりの普通っぷりだ
「死んだんじゃなかったんすか?」
「あー、それでびっくりしちゃってるんでちゅね?ぷすーくすくす!心配しなくても大丈夫でちゅよ!あちしは死にまちぇんから!」
「そうか……貴様は黄泉の国より蘇りし不死のモノか……ハッ!俺様に狩られ飼い慣らされてみるか!?」
「えっ…私はジャンルの違うモフモフは田中キングダムにいらないかな……」
「ならばやめるか」
「なんなんだお前ら……」
呆れた様子の日向に首を傾げる私と田中
「モノミって機械仕掛けのヌイグルミなんでしょ?なら死ぬも何もないんじゃない?」
「そりゃそうかスペアがあればいいってだけだもんな」
「スペアってなんかやな感じ!」
「しかし良いタイミングで現れた…おい、このカウントダウンのタイマーにはどんな意味がある」
「ほぇ?カウントダウン?」
ウサミはぽてぽてと歩き設置された異物を前にする
「ほわわっこれって!……なんなんでちかね…?」
「本当に知らぬのか」
「ごめんなちゃい……モノクマのすることまではちょっと把握してなくて…」
「モノクマの妹なのに知らないんだ〜?」
「あちしはお兄ちゃんの妹なんかじゃありまちぇーん!!
…とっとにかく…一緒に頑張りまちょうね!!あの下劣なモノクマをこの島から追い出しまちょうね!」
「カウントダウンについて知らないなら用はない、さっさと消えろ」
「えっと…一緒に頑張って……」
「消えろ……!」
「きゃぁっ!ごめんなちゃーい…!」
「あの、ちょっといじめすぎでは無いですか?なんだか可哀想になってきました……」
「ソニアさん!あんな奴に同情なんか必要ないですって、どうせモノクマとグルなんですから」
「ヌイグルミの事はいいからよ……それよりあの時計はなんなんだ」
「不気味だろ?誰がどうやって一晩であのオブジェを設置したんだろうな?」
「うーん……想像もつかないな…」
「だが想像つかないのはそれだけではない……この島で起きていることは全て俺たちの想像もつかない事だらけだ
だが想像も付かないことはこれだけじゃない、島で起きた出来事をはじめ俺たち17人はどうやってこの島に連れてこられたんだ?」
「メンドクセーから考えねぇようにしてたけどやっぱ謎だよな」
「謎はまだあるぞ……リゾート地として有名なはずのジャバウォック島がどうして無人島になっているのか……この島には観光客おろか島民もいない、そんな事が本当に可能なのか?」
「おごる文明は没落する運命にある……無は有に…そして有は無に」
「滅びちゃったんですか!?」
「文明というのは果実とよく似ています……成熟した後必ず腐敗してしまうのです」
「単純にさあのモノケモノを使って島民を皆殺しにしちゃったとかじゃないのー?」
「それで無人島にかぁ!?」
「可能性はあるが謎のままだ……これだけ壮大な謎が重なるということはもはや並大抵の組織ではどうにもならないはずだ……つまりこの件には間違いなく何らかの巨大な組織が関係しているはずだ
モノミ、モノクマ、モノケモノ…どれも相当な技術を必要とするものだ」
「それに…かなり資金が必要だろうな、どれも遊びで出来るレベルじゃねえよ」
「おそらくその組織は島の監視カメラを確認しながらそれらの機械を同時に操って居るのだろう…」
「そいつらはこの島のどこかに潜んでいるのか?」
「いや、この島にいるとは考えにくいどこか別の安全な場所でやっているはずだ
とにかくこの件の裏で巨大な組織が動いているのは間違いない」
「巨大な組織かぁ…どんなやつなのかさっぱり検討つかねぇや」
「そうだな例えば……俺の十神財閥、ソニアノヴォセリック王国、それに九頭龍組……それらに匹敵する位の組織だろうな」
「えっ!?」
「疑われんのは慣れっこだ勝手にしろ」
「なぁ十神本気なのか3人のトコが関係してるって」
「例えばの話をしただけだ本当に怪しいと言っているわけではない」
案外人情み溢れる言い方にキョトンとしてしまう、普通ならギスギス疑いあってしまうのが当然だろうに
「そんな組織がいたとして何故我々をこんな目に……」
「ところでその話はいつまで続くのかな?もっと現実の話をしようよ」
「まずは敵の正体を知ることが打開策の発見にも繋がる…幸いです電子生徒手帳によれば探索は許可されている、どこかに敵の手がかりがあるはずだのんびりしている暇はない…死にものぐるいで探せ」
「おーし!やってやろうじゃねぇの!」
「とにかくこれだけは言っておくぞ殺し合いだなんて馬鹿げたことを考える暇はない、その前に自分がするべきことをするんだ観察し、推測し、認識し、理解しろそれが無理でもとにかく体を動かすんだ」
「了解ッス!!」
「伸ばした右手がムチムチだね!豚足ちゃんってあだ名がぴったりだよ!」
「豚足ちゃんだと……?」
「じゃあ今からどうしましょう?」
手を挙げて発言をすると十神くんとしっかり目が合う
「とりあえずは解散だそれぞれのコテージに戻って自由に過ごせ、気を張り詰めすぎるのも良くないからな」
それはそうだね、と各自解散することになった
何をしよう……とぼうっとしていると田中が視界に入るがさすがにずっとべったりくっついているわけにもいかないだろう
とりあえずコテージに戻って住みやすいように軽いリフォームでもしよう!と心を決め帰路に着いた
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