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『紅い赤いアカイ部屋』
紅い、赤い、アカイ部屋。
カチャリと控えめな音をたて開いた扉の先には美しいアカイロで彩られた部屋があった。
リボンにぬいぐるみ。可愛らしいアクセサリー。
どこか幼稚な雰囲気を感じられるこの部屋からは鼻の奥をツンと刺し、腸が煮えくり返りそうなほど香るあまーいあまい匂いが充満している。
「ただいま」
「おかえり」
「どうしてまだいるの?」
「お掃除してないから」
「どうしてお掃除するの?」
「汚してしまったから」
「どうして汚してしまったの?」
「わざとじゃない、汚したくて汚したんじゃない」
「どうしてわざとじゃないと言い切れるの?」
「だって、あなたが反省していないから」
「どうして私だったの?」
「運命だったの、必然的に起こっただけ」
「どうしてこんなに美しいの?」
「綺麗だから、醜くて綺麗だから」
「どうして醜いの?」
「私も、皆も嘘で出来ているから」
「どうして、きれいなの?」
「脆くて儚いものは美しいから」
「どうして脆いの?」
「簡単に壊れてしまうから、ボロボロのところを触ってあげれば簡単に崩れるの」
「どうしてそんなことするの?」
「他人を蹴落とすことでまだ自分は出来ると自分を肯定したいから」
「どうして私も被害者だったの?」
「それは被害妄想だよ」
「どうして不幸を嘆いてはダメなの?」
「本当の意味で助けてはくれないから」
「どうして助けてくれなかったの?」
「力がなかったから、助けなかったんじゃない助けられなかった」
「どうして力がなかったの?」
「人は誰しも弱いのよ、強い人なんて居ない」
「どうして私は答えるの?」
「私は知っているから」
「どうして知っているの?」
「あなたじゃないから」
「私は僕じゃなかったんだね」
「あなたは私、ただそこに居なかった、実行できなかっただけ」
「そっか、私はやってしまったんだね」
「あなたも同罪。あなたは私だから」
「私は」
「あなたは」
「一人しかいないの」
「お掃除しなくっちゃ」
「行こう、レインハート。」
「まだゴミが残っている」
一人の少女は紅い赤いアカイ部屋を出ていった
何もなかった
何も出来なかった
何も得られなかった
何も変わらなかった
床に散りばめられたアカイロは
紅い紅いワインをこぼしたの?
赤い赤い絵の具で遊んだの?
ゴミが潰れて汚れたの?
きっとどれも正しい
彼女にとって飲まないワインも、使わない絵の具も、醜くしたゴミも、全て要らないなのには変わりない
#花園の語り部
塵一つ無い綺麗な廊下に一人分の足音が鳴り響く
アカイ部屋にはもう誰も居ない