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ゆうな
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#みじかめです、!
夢仁羽
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「あの、ジェルさん、ばぁうさん」
「ん? どうした?」
「俺に何か用か」
「実は人生ゲームがしたいんですけど、ルールわからなくて……。よかったら、一緒にやってくれませんか?」
心音くんが率先して話しかけてくれた。その姿を少し後ろから見る。
「お、ええやん! ほな他にやる人おらんか、ちょっと声かけてくるわ!」
「じゃあ、俺たちは先に準備でもしとくか」
ありがたいことに、ジェルさんが他のお客さんやスタッフを誘いに行ってくれることになった。俺と心音くんは、ばぁうさんと 一緒にテーブルへゲームを広げていく。
「――ちなみに俺はばぁう。この世界の神だ」
「わぁ……! ✨️俺は心音です!」
「……Lapisです。よろしくお願いします」
ばぁうさんの独特な自己紹介に、心音くんが分かりやすく目を輝かせている。
「お待たせ〜! 連れてきたで」
ジェルさんが戻ってくると、その後ろからさらに二人の姿が見えた。
「あ、メルトだ! まぜ太さんも!」
どうやら心音くんにとっては、よく知っている人たちみたいだ。
ルールを確認してみると、俺と心音くん以外のメンバーはみんな人生ゲームをやったことがあるらしい。
「よし、ほな俺から行くでー!」
ルーレットを回し、進んでは一喜一憂する。気づけばゲームは終盤を迎え、みんなゴール手前まで来ていた。
ばぁうさんは途中で不運が重なり、とんでもない額の借金を背負っている。
「ふっ……世界はまだ終わらないし始まることは、n……」
「はいはい。ねえ、最下位は罰ゲームね」
「はぁ!? なんでだよ! メルト、自分がもうすぐゴールだからって調子乗りやがって」
「えー? もしかしてばぁうくん、負けちゃうからってビビってるの?」
「いいよ! やってやるよ、受けて立ってやる!」
結局、メルトさんの煽りに乗せられる形で、最下位が罰ゲームを受けることになってしまった。
「あっ、俺あがり〜」
「あー、2番目かぁ」
「俺もあがり!」
残されたのは、俺とまぜ太さん、そしてばぁうさんの三人。
「これ、もうばぁうの負け確定じゃね?」
「そんなわけねーだろ! まだ分かんねえから!」
「じゃ、お先〜」
無情にも、まぜ太さんまでもが先にゴールへと抜けてしまった。
「じゃあ、最下位はこれ食べてね」
そう言って、メルトさんがポケットから取り出したのは、何とも禍々しい色をした怪しいグミだった。
「これ、世界一まずいグミらしいよ」
「待て待て、なんでそんなもん普段から持ってんねん」
「今度、らいとにあげようと思ってさ」
「メルちゃん……?(笑)」
あれは絶対に食べたくない。
祈るような気持ちでルーレットを回す。……出た目は「5」。
「あ……あと1マスなのに……!」
あと一歩のところで、ゴールを跨ぎ越してしまった。
「しゃあ! 俺のターン!」
お願いだ、どうか「6」だけは出ないでくれ。心の中で必死に念じる。
チチチチ、と音を立てて回っていたルーレットの針が、ピタッと止まった。
「よっしゃーー! あがり!!」
「……あ。ごめん、まさかLapisが最下位になるとは思わなかった」
メルトさんも想定外だったようで、少し驚いた顔をしている。
「まあまあ、Lapis」
ばぁうさんが慰めてくれるのか、あるいは助け舟を出してくれるのかと、すがるような目で見つめると――。
「一気にいっちゃおうか」
(トドメを刺された……)
「はい……」
「……いただきます」
覚悟を決めて、グミを口の中に放り込む。
「……っ、なにこれ……!?」
「どんな味!? なぁ、どんな味すん!?」
「……ゴムみたいな味がします……」
「うわ、やっば(笑)」
本当に最悪な味だった。口の中に広がる不快感に、思わず顔をしかめる。
「あ、俺もう仕事戻るわー」
「おいメルト! 逃げるんじゃねえ!」
「あ〜、おもしろかったわ」
メルトさんとばぁうさんの言い合いを横目に、残ったみんなでゲームを片付けていると――カラン、と入り口のドアが開いた。
――その瞬間、激しい泣き声が店内に響き渡る。
「 う、うわぁぁん!」
「ただいまぁっ……!」
小学生くらいの子どもたちが、4人ほど一気に駆け込んできた。みんな一様に顔をこわばらせ、ひどく焦っている様子だ。
その後ろから、同じく小学生の赤メッシュ子が、水色の可愛い男の子を必死におんぶして入ってきた。その子は声を上げて泣きじゃくっている。
一瞬にして、ここの空気が張り詰めた。
ただ事ではない雰囲気を察して、大人たちが急いで玄関へと向かう。
「どうした、何があったの?(メルト)」
「俺も、よくわからなくて……」
「公園に行ったら、ゆたたが泣いてたの……っ!」
「ゆたゆた、落ち着いて……。その腕、どうしたの!?」
遠目からでもはっきりと見えた。ゆたくんの小さな腕には、誰かに強く掴まれたような、くっきりと赤い手の跡が残っている。
「うぅ……ひぐっ……ポロポロ」
ゆたくんは過呼吸気味に泣きじゃくっていて、まともに言葉を発せられる状態じゃない。
「Lapis、心音。これ急いで片付けて、ここ空けよっか」
まぜ太さんの冷静な声に弾かれたように、俺たちは急いでゲームを箱にしまう。
「らおちゃん、ここまで頑張っておぶってきてくれてありがとうね」
「うん……っ……」
たちばなさんが、らおくんからゆたくんをそっと引き取り、抱きしめる。異変に気づいた他の人たちが、2階からも慌てて降りてきた。
俺と心音くんは、まぜ太さんに促されるようにして、事件の渦中から少し離れた別のテーブルへと移動させられた。
「大丈夫だよ、もう大丈夫だからね、ゆたちゃん」
「ゆた、ゆっくり深呼吸しような。すー、はー、って」
ころんさんたちの優しい声に促され、ゆたくんの激しい泣き声が、少しずつ小さくなっていく。
「……何があったか、話せる?」
「うん……あのね、今日、学校が早く終わったから…ちぐさくん達とそこの公園で遊ぼうとしてたの。そしたらね、知らないおじさんが……僕の手を、ぎゅって掴んできて……!」
「うん、ゆっくりでいいからね」
たちばなさんがゆたくんの背中を優しく撫でる。
「『いいことしよう』って言われて……体を触られて、僕、すごく怖くなっちゃって……」
男の子の口から語られる生々しい言葉に、店内の空気がどんどん重く沈んでいく。
「逃げようとしたの……っ、でも、動けなくて……。トイレの方に連れていかれそうになった時、後ろから、赤い髪のお兄さんが助けてくれたの」
「お兄さんが……?」
「うん。お兄さんがそのおじさんと何かお話したあと、僕に『もう大丈夫だから、お家に帰りな』って言ってくれて……。でも僕、怖くて動けなくて、そしたらこれ……飴ちゃん、くれたの」
ゆたくんが小さなポケットから、ぽろりと飴玉を取り出す。
「そのあと、ちぐさくん達と合流したんだね?」
「うん。お兄さん、おじさんと一緒にどこか行っちゃったから……」
「……そっか。お話してくれてありがとう。メルトくん、莉犬くん達にすぐ来てもらえるように連絡して」
「もう呼んだ。メッセージ入れたから、すぐ来ると思う」
「ありがと。じゃあ、小学生のみんなは奥に行こっか」
ころんさんやたちばなさんに連れられて、子どもたちは奥の部屋へと移動していった。
「……なんだか、怖いね」
心音くんが、不安そうな顔で俺の耳元で囁いた。
「うん……あの公園、色んな人がいるもんな」
ふと壁の時計に目をやると、長針はすでに午後4時を回っていた。
「……俺、もう帰らなきゃ」
「うん。俺も」
心音くんが従業員の方を振り返る。
「にしきさん、俺たちそろそろ帰ります」
「あぁ、さっきの事もあったし、本当に気をつけて帰りなよ? 何かあったら、いつでもすぐにここに戻っておいで」
「はい。ありがとうございます」
重苦しい空気の残る「ひなたび」を後にして、俺と心音くんは並んで帰路についた。
コメント
5件
「おじさん」の続ききになる!
いや、後半の「おじさん」の場面は本当に怖かった……。ゆたくんの腕の赤い跡と過呼吸の描写が生々しくて、読んでるこっちまで息が詰まったよ。前半の人生ゲームでみんなでワイワイやってた温かさとのギャップがすごくて、日常の裏にある危うさをリアルに突きつけられた気がした。赤い髪のお兄さんが助けてくれたのは救いだけど、そのお兄さんもおじさんと一緒に消えたっていうのが気になる…。続きがめっちゃ気になるわ