TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

熊蟄穴

僕はこの匂いが好きだった。秋と冬の間の匂い。それでいてかつそこそこ寒くて人肌恋しくなる、僕を含めた全ての日本人が1番人間くさくなるこの時期。

そんな日は君に会いたくなる。君の居なくなった12月12日。

この匂いに包まれながら、人によっては微妙って感じるこんな日を君とただ歩いていたい。それだけでいい。たったそれだけが何故か叶わない。君の瞳も声も顔も匂いも話し方も、笑顔もそのどれもが本当に好きだった。でもそれを感じとる術はもうない。

君はすぐ近くにいるって分かるのに、何故か感じ取れない。もちろん理解している、どう頑張っても2度と僕の願いは叶わないということは。それでも願わなければ。望まなければ。そんなおもいが僕を縛り付ける。

僕のそれが神にでも通じたのか、あるいは分からないけれど12月12日の宵の口から夜明けの間だけは君の姿が見えるようになった。

僕が見ている君の姿は正座でいつも泣いている。どうして泣いているの?いつも問いかけるけど、答えはもちろんない。僕らは悲恋なんかじゃないんだよ。もちろん僕の言葉が届くことはなかった。

それでも今日も、この時間だけは全力で君に恋をする。

2022/12/12

この作品はいかがでしたか?

7

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚