テラーノベル
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【💚】
最初にふっかと寝たのは、ただの暇つぶしだった。
俺のいたずら心が、ふっかを唆して
たまたま断られなかった。
「それっぽくなりゃ、誰でもできる」って阿部は思ってた。
ふっかは適当に笑って、軽口叩いて、
“感情”も“期待”も持ち込まない。
そういう奴だと思ってたから、ちょうどよかった。
でも徐々にふっかの言葉に違和感を感じ始めた。
「お前の家、落ち着くなー」
「なんか、来ると安心すんだよな」
冗談っぽく言ってるけど――
阿部には、ふっかの気持ちが
少しずつ“寄ってきてる”のがわかった。
(あー、面倒くさい方向行きそうだな)
阿部は、誰かに期待されるのが苦手だった。
“この人だけは特別かも”
“自分の中に居場所があるかも”
――そんな目で見られた瞬間、
途端に息苦しくなる。
ふっかは最初、そういう顔をしなかった。
ただのセフレ、ただの月イチ。
「またね」で全部流せる関係だった。
でも今は違う。
ふっかの触れ方が、“確かめようとしてくる”。
「今日、冷たくね?」
「なんかあった?」
そうやって、空気の違いに敏感になってきてる。
(それ、めんどくさいんだって)
「今日はいいや」
そうLINEで送ったのは、
優しさでも冷たさでもなく、ただの処理だった。
来たいなら来ればいい。
でも、“重くなるなら別にもういらない”。
それが阿部の本音だった。
コメント
1件
まじか。ふっかさんかわいそー。