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共依存する予感…?!
あの日からずっと
俺はヒーローに助けられながら生きている
こんなんじゃダメだ
いつまでも明那に迷惑をかけていてはダメだ
いつも頼ってばっかりで
甘えてばかりいるなんて
俺は明那と対等に
同じ目線で生きていきたいんだ
そのためには恐怖症を早く克服しなければならない
たとえ多少苦しくても
俺は女の子と関わっていかなければならない
明那side
恐怖症を抱えた男の子
その子の口から震えた声で語られる話は
悍ましくて、残酷で
先生に犯されただなんて
あまりにも現実性がなかった
でも、泣きながら辿々しく語るその姿は
とても嘘には見えなくて
それに、とても
とても可愛らしかった
同時に守ってあげたいとも思った
この子の世界には、俺しかいないんだ
俺しか守ってあげられる人がいない
君のヒーローは僕だけ
僕だけが君を守ってあげられる
だからこそ、
克服なんてしなくていい。
俺がそばにいるから
ずっと守ってあげるから
だから、他の女と関わらないでほしい
なんて、声に出すことはできなかった
頑張っているふわっちの
足を止めるようなことは俺にはできない。
だったら、ふわっちが苦しい時に
そばにいてあげよう
俺が支えとして
不破side
『 もう落ち着いた?』
[うん、ありがとう]
呼吸を整えて時計を見ると午前8時
もうすぐホームルームが始まる時間だった
[やばっ!急がないと]
俺たちは走って教室へと向かった
「不破く〜んおかえりー」
[ただいま!〇〇ちゃん]
さっき、明那と話したからか
自分の心の中で意志が固くなったからか
なんだか今日はいける気がする
克服に一歩近づけるような気がする
「あ!そういえば〜これ不破くんにおすすめしたかったんだよねー」
[ん?どれ?]
「これだよー」
そういうと女の子はスマホを見せるため肩を寄せる
肩と肩が触れた。
ゾワッ
ガタッ
俺は反射的に席を立ってしまった
「え?不破くん?どしたの?」
[あ、いや、トイレ、いきたくて!]
「おー笑そっか、いってらー」
[ぉ゛ぇ、っうぇゲホッ]
今日はいけると思っていた
克服できるかもって
[あま、かったなぁ…]
あまりに楽観的になっていた
簡単にできることではないのに。
帰り道
さっきのショックで
今日はなんだか元気が出ない
明那にも大丈夫?と聞かれたが
なんでもないふりをしてへらっと笑った
はぁどうしてうまくいかないんだろうな
『 ふわっち』
[ん?出したん明那]
『 ちょっとこっちおいで』
グイッ
明那に腕を掴まれ、寄せられる
前を見るとそこには女性の集団が歩いていた
明那は気をつかって俺を引き寄せてくれたんだ
優しいな。かっこいいな
こういうところがきっと俺は
好きなんだろうな
明那はすごいな
他を見る余裕まである
対する俺はまだ一歩も進めていないのに
克服しようという気持ちが
心の中でひどく走った