テラーノベル
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主人公ヒーロー扱い
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真夏でも、夜明けはまだ涼しくて
眠れない私は散歩に出かけた。
いわゆる深夜徘徊。退廃的な夜の街を、ただ一人歩く。
いつもの公園も、夜に来るとまた雰囲気が違って見える。
しんみりした空気に浸っていると
ゴロゴロ
俄かに雷鳴が轟き始めた。これはただの雷じゃない。ただ事じゃない。そう感じた。
「リトくんだ」
私は咄嗟に変身デバイスを手に取った。
「変身」
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現場らしき場所へ向かっていると、インカムから報告が入った。
【市民に軽傷者あり。至急増援を頼む。】
リトくんの声だ
急がなければ、と脳みそが言っている。だけど、うまく力が入らない。
どうやらKOZAKA-Cの罠にはまってしまったようだ。全身が痺れ、視界がぼやける。
みんなを助けなきゃいけないのに
こんなところでくたばってちゃいけないのに
ダメだ
だめだ
だれか
『もも!!!』
気付けば私は胴を持ち上げられていて、視界にはまばゆい閃光の数々。
「リト、、くん」
『緊急要請入ったわけじゃないんだから、星導たちも駆けつけてくれたしお前はいいのに』
「インカムで必死になって増援要請したのリトくんじゃん」
『うるせぇ、もういいから 片付けるぞ』
そういうと、まばゆい光を一斉に敵に向かって放つ。災害レベルBの物体たちが、次々と意識を手放していく。
仄暗かった空が一気に青天と化す。
『やったな!!!!!』
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一緒に家に帰り、ソファに座る。
くたくたになった私を、もっとくたくたになっていいはずのリトくんが支える。
私の髪を乾かしながら、なんだかとっても嬉しそう。
「なんでそんなニコニコしてるの」
『ん?だって、増援呼んで一目散に現地来てくれたのももちゃんだからさ、もしかして俺が呼んだからかなとか思って』
お見事だ。図星すぎて声が出ない。
赤面する私を見てか、髪の毛を乾かす手が一層優しくなった。と思ったら強くなって
『今日は一緒に寝よっかももちゃん』