星涙病
ころん。ポロポロ。
星型の涙が床に落ちていった。
最近、夜中になると俺はずっと1人で泣いている。
『俺、好きな人できたんや』
今でもあの言葉が残っている。
俺はその時何も言うことができなかった。
大好きだった。誰よりも愛していた。
振り向かせようと頑張った。努力もした。
けど、ずっと片思いだった。
きっとこの想いは誰にも気づかれないまま消えていくんだろうな。
ころん。ポロポロ。
また、涙の落ちる音が聞こえる。
何もかもが白黒の世界。
色彩のない世界。
今、俺はそんな世界に生きている。
「侑」
誰かの名前を呼ぶ声が聞こえた。
あつむ?誰のことだろう……
声がする方を見ると今にも泣き出しそうな顔をしている男の姿があった。
「えーと…あの、すみませんが誰ですか?それにあつむって一体誰を……」
男は俺の質問を聞いた瞬間、今まで我慢していた涙が溢れ出るかのように泣いた。
彼は誰なのか、何者なのかわからない。
けど、放って置くわけにもいかず、落ち着くまで俺は彼の背中をさすっていた。
数分後、涙も引いてきたところで一体何で泣いていたのか、あつむとは誰なのか聞いてみた。
「俺な、ずっと大好きな人がいたんや。ま、片思いだったんやけどな。でも片思いだとしても俺は一緒に居れるだけで凄く幸せだったんや。でもやっぱ俺は気持ちを伝えたかった。やからそろそろ告白しようと思ってな」
そんな彼の話を聞いてる時に思った。
あぁ、彼はホントにその好きな人の事を愛していたんだな。
話をしている彼の顔をとても幸せそうで微笑ましかった。
きっと彼に好かれている人は幸せもんなんだな。
「……けど、その人な。病気のせいで記憶喪失になって俺のこと忘れてしまったんや。」
幸せな物語はその一言で悲しい物語となっていた。
想いを伝える前に大切な人に忘れられ、気持ちも伝えないまま終わってしまう。
儚くて、とても悲しい恋。
彼の悲しみ、苦しみがよく伝わってきた。
「あ、そろそろ面会時間も終わりやな。」
あ、待って、まだ聞いてないことが、
あつむって一体……
「あぁ、せや、侑な。侑は……」
「侑は俺が唯一、一生愛す人の名前や。」
そう言い残し、彼は病室を去った。
そう、ここはとある病院の病室だ。
病室の入り口の名札にはこう書いてあった。
107号室 宮侑
星涙病
片思いをすると涙が星型になる病
涙を流すときには「ころん」「ポロン」など何かしら音が聞こえる
色彩がなくなったり、まれに記憶喪失にもなる
好きな人との恋を成就させると、完治する
コメント
7件
奇病パロきた〜!! めっちゃ好きなんだよね🤭🤭 侑、両片思いだったのに星涙病になっちゃったのか😭😭 それほど長い期間好きだったんだね..🥲 pinoほんとに物語書くの上手すぎて感動する😖💕 リクエストしちゃってもいいですか!ウサギ病?だっけ、それ見てみたいかも‼️ 全然遅くなってもいいよん 次回も楽しみにしてるね!💕
待って待って待って やば、めちゃくちゃこういうの好きすぎる…しかも奇病っっ!! 両片思いだったのに、星涙病になったのか侑😭 拗らせ系?やっぱ最高だ…💕 奇病との2点セット、超嬉しすぎる ちょ、今から皮膚科行ってくるから♡後で押すねッッ!! 続き楽しみっ!💕

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