テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところ闇は生まれる〜
特別編
第4話 時間切れ
『血……?なんで……っ。』
『主様!!』
『アモン君…っ。それにみんなも…。ディッドは?』
『クロウザーが今戦っています。主様はハワイアンウッドローズの多量摂取で時間がないんです!持って1時間…1時間経てば精神が壊れ……。最悪の場合……死に至ると…。』
『そんな…っ。』
私は口元に血を拭う。
『はぁ、はぁ……っ。』
最初から、私は捨て駒か…。ラリータも、ルルーナも、私達はただ貴方の為に戦ってきたのに。でも……枯れる時が1番美しいと言ってくれた貴方。それなら美しく咲いて散るのが私の役目。
私は再び剣を構えてふらついた足で船の見張り台まで登る。
『お姉ちゃ――!』
追いかけようとした手をベリアンに掴まれる。
『!』
『主様。ここは私が。最後の役目は貴方にお任せします。貴方のやり方で、どうか止めてあげてください。』
『ベリアン……っ。』
トワイライト船 見張り台
『邪魔をしないで…っ。私のことを殺せない癖に、武器を抜くなんて。死にたいのかしら。』
『…構いませんよ。貴方になら殺されても。』
『っ…!』
ベリアンは真っ直ぐ私を見つめた。
『主様。私は貴方に殺されても構わない。
でも。私一人殺したところで無駄です。貴方には後18人の執事が残っています。ムーちゃんにまで手をかけれますか?そして、最愛の妹である百合菜様に。』
ドクンッ!!
その名前を聞く度……おかしくなる。
胸がざわついておかしくなりそうだ。
薔薇、薔薇を口にしないと…余計なことは考えたくない。あれがないと……っ。
私は動揺しながら薔薇の花弁が入った小瓶を落としてしまう。
パリーンッ!!
『っ…!』
(ハワイアンウッドローズが……っ!)
『貴方に…私は殺せませんよ。主様。貴方は麻里衣様は、誰かを本気で殺す事など本心で出来るわけありません。』
『やめて、やめて…っ!!余計なこと、考えさせないで…っ!!』
『貴方は、操られていただけです。戻ってきて下さい。闇の中から。』
『あ、あああああああああっ!!!!!』
激しい頭痛が、私を襲う。
心の中
(ここは……?暗い、この前と同じの……私の心の……。)
『何してるの。麻里衣。』
(!貴方は……?)
『貴方は私。この間の私じゃないわ。あれは、貴方の弱い心が生み出した幻覚よ。私は、本物の麻里衣。妹の百合菜を幼い頃から愛し、守り続けて来た麻里衣。もうやめなさい。これ以上、彼女を……執事のみんなを傷つけるのは。』
(でも、私の帰る場所なんて……っ。)
『何言ってるのよ。貴方には帰る場所がある。百合菜の執事のいるところが貴方の帰る場所であり、居場所よ。こんなところで死ぬなんて許さない。百合菜を悲しませることは絶対に。』
(っ……。)
『貴方はリリィじゃない。姫神家長女。姫神麻里衣。勇者のように強くあれ。そうして名付けられたのが麻里衣。純粋無垢な百合を守る為に名付けられた名。それが貴方。』
『うぐっ!』
頭を抱えてふらついてしまう。
『主様…戻ってきて下さい。貴方の帰る場所へ。』
私は主様に手を差しのべる。
その手を取ろうとゆっくり歩き出した時だった。
『リリィ…!!』
『はっ…!』
下からディッド様の声がする。
『戻ることは許さない。君はここで俺の為に散って死ぬんだ。その命を俺の為に捧げると誓ったのなら、最後まで忠誠を誓え!』
『往生際が悪いな。ここまで痛めつけたのに。』
ディッド様は血に汚れ、腕を縛られていた。
『フッ。彼女は俺の駒だ。死ねと言われれば死ぬし、お前らを殺せといえば殺す。お前らに殺されるくらいなら俺は――。』
『!』
俺はデッキの外に立ち海へ飛び込もうとする。
『っ、お前……っ!!』
『フッ。お前ら上を見てみろ。』
『は…?え…っ!!』
見張り台には主様が登っていた。
トワイライト船 見張り台
『ディッド、様…。』
私は剣を握り締める。
と、その時だった。ベリアンの後ろに百合菜が現れた。
『ゆ、りな……?』
カチャッ……。
『…お姉ちゃん、早く。戻って来て。
私の、大好きな…お姉ちゃん。』
『さぁ、お前らの主様はどっちを助けると思う?』
俺は海へ飛び込む。
……ドンッ!!
私は自分の胸に、ピストルを打ち込む。
『主様――!!』
私はそのまま後ろに倒れ込み、海へ落下する。
ドプン……っ!
『百合菜……っ!!』
気付けばその名前を呼び叫んでいた。
私は迷わず、海に飛び込む。百合菜を助けに。
『な…っ。ふざけるな、リリィ、リリィぃぃぃぃ!!!!!!』
(お姉ちゃん。お姉ちゃんなら助けてくれる。
だから怖くない。お姉ちゃん、こんなずるいやり方しか出来なくて、ごめん。)
私、ずっと謝りたかったの。お姉ちゃん。
ごめんね――。
『百合菜…!!』
海の底に沈む前に、お姉ちゃんは私の手を取る。
ガシッ!!
『ぷはっ!!』
『百合菜!百合菜!なんてことするのよ…っ。』
『お姉ちゃん…っ。良かった…元に戻ったんだね…っ。』
『えぇ、ごめんなさい…。私、貴方に沢山酷いことを…それに、みんなにも…っっ!』
『お姉ちゃん…私もごめんね…お姉ちゃんに頼りっぱなしで…私…。』
『いいの、百合菜…私は、これからも貴方を守るわ。必ず。』
『お姉ちゃん……。』
『っ、それより、ピストルの弾は!?早く上に上がらないと!』
『ふふ、それなら、平気。ほら。』
私は自分の胸元の服をはだけさせる。
そこにはハート型の石があった。
『ここに当たったから私は無傷。お姉ちゃんのお守りが守ってくれたよ。』
『百合菜……っ。』
私達はぎゅっと抱き締め合う。
そして、執事のみんなに引き上げられる。
『主様。』
『みんな…。…っ。合わせる顔がないわ。私は主失格よ。みんな…傷付けてごめんなさい。』
『主様、おかえりなさいませ。』
ベリアンは自分の羽織りを私にかける。
『…!なんで、優しくするの…?私あんなに沢山酷いこと……』
『私は貴方の執事です。貴方を守るのが私の役目。貴方が濡れていたら傘を差し伸べるのも、こうして羽織をかけるのも私の役目なのですよ。』
『ベリアン…。』
『主様。これを。』
ルカスが渡したのは小さい小瓶に入った透明の液体。
『治療薬です。ハワイアンウッドローズの成分を調べ、作った薬です。』
『あ、ありがとう…。』
私はごくんっと薬を飲み込む。
『少し、楽になったわ。……ふふっ。』
バタンッ。
私はそのまま眠りに着く。
『主様…!』
『ルカス、もしかしてその薬は…』
『うん。睡眠作用の強い治療薬を作ったんだ。この後のことは私達執事の仕事だからね。主様にはしばらく眠ってもらう。さぁ、帰ろうか。デビルズパレスへ。』
次回
第5話 私への罰
10
MAKO
#儚い恋