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目の前の少女――フランドールは、小首をかしげて俺を見つめている。 七色の羽がカチャカチャと不気味な金属音を立てて揺れた。
「(落ち着け。相手は子供だ。機嫌を損ねないように、こっちからリードしてやるんだ……!)」
俺は引きつった笑顔を浮かべ、リュックの紐をぎゅっと握りしめて話しかけた。
「えっと……フランちゃん、かな? 俺と一緒に何かで遊ぼう。何をして遊びたい? 好きなものを選んでいいよ」
その瞬間、後ろで扉を閉めようとしていた咲夜の手が止まった。 静寂。 ただならぬ沈黙が地下室を支配する。俺は気づかなかった。それが、この館で最も口にしてはいけない「死の招待状」だったことに。
「……何でもいいの?」
フランの瞳が、爛々と紅く輝き出す。 彼女は口角を吊り上げ、邪気のない、しかし狂気に満ちた最高の笑顔でこう答えた。
「じゃあ……**『弾幕ごっこ』**がいいな! お兄ちゃんを、綺麗にバラバラにしてあげる!」
「…………は?」
弾幕ごっこ。その単語を聞いた瞬間、俺の脳裏に霊夢と魔理沙が空で繰り広げていた「光の暴力」が蘇る。
「待っ、タンマ! フランちゃん、俺は人間なんだ! 飛べないし、弾も出せないし、普通の『ごっこ』がいいんだけどな! ほら、おままごととか!」
「だーめ。お姉様が『遊んでいい』って言ったんだもん」
フランがその小さな手を、ふわっと空にかざす。 その手には、ぐにゃりと歪んだ恐ろしい槍――レーヴァテインが握られていた。
「さあ、いくよ? 逃げても無駄なんだから」
彼女の周囲に、見たこともない密度の「紅い光の球」が生成され始める。 一発掠めただけで、俺の体はひき肉どころか分子レベルで消滅するだろう。
「待て! 待ってくれ! 弾幕ごっこの前に、まずはお腹を満たしてからにしよう! 空腹だといい弾幕が出ないぞ!」
「いいよ。お兄ちゃんを壊したあとで、ゆっくり食べるから!」
「(ダメだ、話が通じない……!!)」
死の光が、地下室を埋め尽くそうとしていた。 俺は絶望のあまり、リュックから『究極の白だし』の瓶を取り出し、まるで盾のように自分の前に突き出した。
「(神様、五万二千円の神様! 助けてくれ!!)」