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六枚の翼を持つ“それ”は、空中都市の上空で苦しむように身をよじった。黒いヴォイドが身体を這い回り、白銀の装甲を侵食していく。
「うっ……来るな……人間、共……!」
声は女性のものだった。
だが途中でノイズが混ざる。
ガガッ――。
胸の巨大な赤い目が、不規則に明滅した。
「私が……私であるのは……」
「ガッ……もう……グッ……!!」
ズガァァァァァン!!
暴走したエネルギーが周囲へ放たれる。
空中都市の塔が次々崩壊する。
「まずい!!」
僕たちは咄嗟に岩陰へ飛び込んだ。
吹雪が衝撃波で吹き飛ぶ。
ノヴァが高速解析を開始する。
「対象を確認」
「古代天空都市管理者――コードネーム《セラフィム》」
「管理者……!?」
レイナが息を呑む。
「まさか、都市そのものを守ってた存在……?」
セラフィムは苦しそうに頭を抱えていた。
白銀の翼は半分以上が黒く染まり、ヴォイドが脈打っている。
しかし。
彼女の片目だけは、まだ消えていなかった。
その目が、一瞬こちらを見る。
「……逃げ……ろ……」
次の瞬間。
胸の赤い目が完全に開いた。
ギョロリ。
空気が凍る。
ノヴァの声が緊迫する。
「危険!!」
「ヴォイド側へ制御を奪われます!!」
セラフィムが絶叫した。
「アアアアアアアアアッ!!!!」
ドゴォォォォォン!!!
ドゴォォォォォン!!!
六枚の翼が一斉展開。
空から無数の黒い羽が降り注ぐ。
それらは地面へ刺さった瞬間、巨大な爆発を起こした。
「うわぁぁぁぁっ!!」
雪山が崩れる。
雪崩だ。
さらに――。
空中都市アストラル・エデンが、ゆっくり降下を始めていた。
ノヴァが青ざめる。
「都市制御喪失!」
「このままでは、アストラル・エデンが墜落します!!」
不明ちゃん。