綾橲「 雄阿くーん!大好きっ 」
其の言葉は何回目だろうか。
綾橲が数え切れない程の愛を伝えられた。
其の度に ‘ 雄阿君は? ’ と強請られる。
そして今日もお決まりの、
綾橲「 雄阿君は?私の事好き? 」
ほら、矢っ張り。
毎日、毎分、毎秒。
此れは何時来ても予知出来てしまう。
正直言って面倒臭いとしか思えない。
義務化している相槌は
日に日に雑さが増してゆく。
雄阿「 あー、うん 」
嘘なのか、適当なのか、最早不明な相槌。
でも俺も ‘ 愛してる ’ と想っている、筈。
でないと今こうしていない。
綾橲「 もー!適当だなぁ、笑 」
綾橲も俺の雑さには呆れているだろう。
だから今はネタとして扱ってくれている。
其れが有り難いという事に気付かなかった。
綾橲「 雄阿君は私が消えたらどうする? 」
何時も通りの、
雑談をするような感じで俺に質問をした。
其れに ‘ んー ’ と訳の解らない返答をする。
俺はまた気付かなかった。
此れが答えなくては成らない
最期の質問だって事を。
綾橲「 雄阿君!だいすきっっ! 」
手を振られ、俺は冷たい目をする。
でも気にしないかのように手を振り続ける。
きっと気付いているのに。
其処で最期の ‘ 好き ’ はナくなった。
‘ またな ’ と言いたかったのは
翌日の事だった。
雄阿「 おう、 」
綾橲、さようなら。
本当は愛してた。
嘘じゃなく、愛してた。
其時は唯気付かなかっただけなんだ。
コメント
8件
「ナくなった」の意味、私が思ってたことと合ってて嬉し(( 最期のだいすきっ!ってとこ悲しすぎて胸がぎゅんってなる🥲(? 通知見て速攻で飛んできた()
んん私的にもうコンテスト優勝 (( まじ初っ端から泣かせに来てる