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十二話 オリジンズ
◆壁画の内容
──はるかなる創世の昔。
星がまだ名を持たず、空に境界がなかった時代。
この世界を司る“四柱”の存在がいた。
人は彼らをこう呼ぶ──原始の神と。
───
一、創造神・初代「森」──ヴェルデリア
→ 一射にて大陸を貫く、緑の閃光の弓を携えしもの。
一、破壊神・初代「海」──ザイレム
→ 全てを凍てつかせる、氷結の双刃剣を振るう者なり。
一、物理律の神・初代「大地」──テグナム
→ 山をも断つ、一撃必滅の神断斧を振り下ろす。
一、叡智の神・初代「空」──エラノイア
→ 光そのものを槍とし、空を統べる神槍の使い手。
⸻
されど、神々は次第に道を違えた。
調和は乱れ、世界は引き裂かれんとした──その時。
現れたるは、人の形を成したもの。
その名は、英傑アレクシス・ダイヤモンドと、その仲間達。
星晶より鋳たる剣「聖剣セレスティア」を手に、
四柱の神に戦いを挑んだ、半神の存在である。
その剣は理を超え、光を裂き、
一閃にて空と地を分かち、海をも蒸発させる力を持っていた。
神々との戦いは、まさに災厄そのもの。
大地は砕け、森は焼かれ、空は裂け、海は逆巻いた。
──だが、彼は勝った。
神を穿ち、理を超え、世界の命運を掴んだ唯一の者。
その後、神々から受けた傷を癒すため、
彼は深く、深く、永い眠りについた。
ただ一言、石に刻まれし言葉を残して──
「神であろうと、人が選んだ未来を阻むことは許されぬ。」
彼らは今も《オリジンズ》として人類の歴史に深く根付いている。
⸻
ロストロビン「…アレクシス……」
バルト「なあ、ロストロビン。この戦争って……いつ起こったんだ?」
ロストロビン「……戦争、というよりは“災害”に近い。
おそらく、“体現者”という存在が現れ始めた頃だろうな。」
リン「ほんと、こんな作り話みたいな伝説でも……アレクシスの名前だけで一気に信憑性が増すなんてね。」
真理「ま、待って!なにそれ!?みんな、英傑ってのを知ってるの!?」
バルト「ええ……冒険者の間では常識だぞ?」
リン「英傑、アレクシス・ダイヤモンド。
龍王サーベルスの腹から蘇り、不老となった男よ。
いつ封印されたかも不明、なのに100年前に活動していた記録がある──
もしかしたら、今もどこかで生きてるかもしれない。
最初に『勇者の素質』を持った男ザ•オリジンって言われてるの。」
真理「……世界には知らないことが多すぎる……」
⸻
しばらくして──
ロストロビン「無事、お前らは“ヴェルデリア”への記録が完了した。もう出ていっていい。
……最後に、聞きたいことはあるか?」
真理「次に行くべきは、どの街ですか?」
ロストロビン「何を目指すかによるが──
ここらの冒険者は“時計の街・アルタビア”に向かってるらしい。南西に進め。」
バルト「じゃあ……他の四神は?場所、わかるか?」
ロストロビン「……分かるには分かるが、大雑把にしかな。
あいつらが居る場所は魔力と“ヴェルデリア”の乱れが強すぎて、正確な特定ができない。
欲しければ、あとで木片に彫って渡す。」
リン「ヴェルデリアの代わりに、魔力で物体を創造することはできますか?」
ロストロビン「できなくはないが……多重魔法陣5個分の魔力が消費される上、
“形”を維持するには常軌を逸した圧力をかけ続ける必要がある。
並の術者には、到底無理だろうな。」
真理「そのフクロウ…?は?」
ロストロビン「ああ、こいつか? “草気”で作った草気生物ヴァイパーだ。
お前らが良ければ、こいつを同行させよう。必ず役に立つ。」
(真理が手を差し出すと、ヴァイパーが飛び乗る)
真理「……じゃあ、出発します。」
ロストロビン「ああ……(ぼそっと)気をつけろよ。」
真理「えっ?今、何か言いました?」
ロストロビン「……何でもない。早く行けって言っただけだ」