テラーノベル
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𓏸𓏸が怒って出て行ってしまった日の夜、涼ちゃんはぽつんとベッドにもぐり込んでいた。
ぽたぽたと涙が枕を濡らす。
(𓏸𓏸、もう帰ってこないのかな……)
静かな病室。外の廊下の声も今日は遠く感じる。
それから一日。二日。三日……
どれだけ待っても、窓の外が夕焼け色になっても、
𓏸𓏸の足音は聞こえてこなかった。
看護師さんや家族が代わる代わる顔を出すけれど、
𓏸𓏸のことを尋ねるとみんな少し困ったような顔で「もう少し待っててね」としか答えてくれない。
寂しさと小さな後悔がじんわり涼ちゃんの胸に広がる。
(本当は……ごめんね、𓏸𓏸……)
その思いは言葉にならず、
ただ静かに、何日も何日も、涼ちゃんの中でぐるぐる回っていた。
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